なぜ、今年の 町田ゼルビア は強いのか?

J2リーグも優勝争いが佳境に入ってきた。その中でも首位をひた走るチームが町田ゼルビア

2021年シーズンも5位とJ2で存在感を見せていたが、昨年は16位に沈み、ここまで強いとは開幕前は想定されていなかった。

躍進の秘訣はどこにあるのだろうか?

3点のポイントに絞って解説をする。

①黒田新監督の就任と青森山田式の戦術

一重に今季の町田の躍進の核となる要因は黒田新監督の就任であろう。

高校サッカーを代表する名将であり、青森山田高校を3度の選手権優勝に導いた。

黒田監督は守備的な戦術を町田に取り入れ、運動量が多く攻守の切り替えが早いサッカーを町田に取り入れた。

当初はこのような運動量の多いサッカーは一年を通して試合を戦わなければいけないリーグ戦には不向きであり、町田は失速をすることが予想されていたが、中盤以降も堅実に勝ち点を積み重ね、首位を堅持している。

また、今年のゼルビアで話題となっているのがセットプレーにロングスローを加えたことだ。

一部では、ロングスローは高校サッカーではよく見られるプレーだが、プロの世界ではあまり使用されない。

こういったプレーを使うのは卑怯だといった批判もでているが、結果を残しているので、文句は言えない。

高校サッカーの監督を経験したからこそ、できる戦術だ。

加えて、金明輝氏(41)のヘッドコーチ就任も大きな役割を果たしている。

長年、サガン鳥栖の監督としてJリーグを戦いぬいたコーチが右腕となることで、黒田監督の戦術をよりスムーズにJリーグの舞台に落とし込むことが可能になったと言えるだろう。

②資本基盤の確立と、積極的な選手補強。

町田は昨年12月、親会社の(株)サイバーエージェントの社長・藤田晋氏が、クラブの社長兼CEOに就任。社長自らが経営に乗り出し黒田監督を招聘、またオフには大型補強を敢行し、J1昇格に向け本腰を入れた。

黒田監督の意向もあり、2022年シーズンのオフには10人が退団し、19人もの選手が加わった。

▼下記は加入した選手一覧

アデミウソン FW 無所属 29歳 2023/9/5
松本 大輔 DF サガン鳥栖 25歳 2023/8/3
鈴木 準弥 DF FC東京 27歳 2023/7/11
バスケス バイロン MF 東京ヴェルディ 23歳 2023/7/6
松井 蓮之 MF 川崎フロンターレ 23歳 2023/5/23
藤尾 翔太 FW セレッソ大阪 22歳 2023/3/8
ストイシッチ GK ベガルタ仙台 26歳 2023/1/9
高澤 優也 FW 大分トリニータ 26歳 2023/1/6
内田 瑞己 DF カマタマーレ讃岐 24歳 2023/1/3
布施谷 翔 MF 国士舘大学 23歳 2023/1/3
エリキ FW 長春亜泰 29歳 2023/1/1
ミッチェル デューク FW ファジアーノ岡山 32歳 2022/12/31
高橋 大悟 MF 清水エスパルス 24歳 2022/12/26
カルロス グティエレス DF 栃木SC 31歳 2022/12/25
下田 北斗 MF 大分トリニータ 31歳 2022/12/24
黒川 淳史 MF ジュビロ磐田 25歳 2022/12/19
藤原 優大 DF 浦和レッズ 21歳 2022/12/19
奥山 洋平 MF いわてグルージャ盛岡 23歳 2022/12/16
荒木 駿太 FW サガン鳥栖 23歳 2022/12/15
沼田 駿也 FW レノファ山口FC 24歳 2022/12/9
池田 樹雷人 DF ブラウブリッツ秋田 27歳 2022/12/7
チャン ミンギュ DF ジェフユナイテッド千葉 24歳 2022/12/7
稲葉 修土 MF ブラウブリッツ秋田 30歳 2022/11/25
深港 壮一郎 DF 立正大学 23歳 2022/8/19
平河 悠 FW 山梨学院大学 22歳 2021/9/16

黒田監督の守備的なサッカーを実現するために、DFラインの補強はもちろん、守備からの切り替え後のカウンターで少ないチャンスを確実に仕留めるため、前線には、ミッチェル・デューク、エリキといった実績ある外国人ストライカーを補強した。

ミッチェル・デュークは1.86mの伸長を活かした打点の高いヘディングが魅力でオーストラリア代表のFWだ。かつてはJ1清水エスパルスでもプレーをした。

エリキはJリーグファンにはお馴染み、横浜Fマリノスで活躍した経験のある万能型FWだ。

J1で実績のある、異なるタイプの攻撃力の高いアタッカーを加えることで、攻撃の武器を作っている。

また、開幕後も首位でありながら積極的な補強を続け、運動量の多い黒田監督の戦術による選手の疲労を補うように5名の新加入選手を補強した。

これも中盤以降も、町田ゼルビアが勝ち点を落とさず理想のサッカーを出来ている大きな要因の一つだろう。

そのうちの一人 = バスケス・バイロンは首位を争う敵チーム東京ヴェルディの中心選手であったにもかかわらず、シーズン途中に優勝を争うライバルチームに移籍した。禁断の移籍ともささやかれている。

実際に移籍が報じられた日には東京ヴェルディのファンに向けて、釈明ともいえるようなツイートもしている。

では、なぜバスケス・バイロンはこのような状況下で町田に移籍したのか?

理由は彼が青森山田時代に黒田監督の元でプレーしていたことが大きい。

恩師に誘われ、断ることが難しかったのだろう。

黒田監督は他にも、青森山田で指導した選手をチームに加えており、自分のサッカーをよく理解している選手を増やしたかったであろうことは言うまでもない。

他にも、教え子の柴崎岳の町田への移籍もささやかれていた。

➂競合チームの不調

ゼルビアが躍進した裏側では競合チームの不調も大きい。

昨年、J2で3位だった、ファジアーノ岡山は9位、4位だった仙台は16位と昇格プレーオフ圏外に沈んでいる。

ベガルタ仙台については、降格圏ギリギリの有様だ。

また、同じく競合と目されていたモンテディオ山形も、現在は8位まで順位を上げてきたが、開幕当初は不調が続いていた。

下馬票通りに勝ち進んでいるのは清水エスパルスくらいか。

このような外部要因も町田の首位快走に起因しているのは言うまでもない。

まとめ

残り、Jリーグも数試合。町田の優勝はもうそこまで来ている。

是非、優勝の瞬間を目撃したいものだ。

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