『中華街の水族館』孤独の水族館 #1

『ガタンゴトンガタンゴトン』

電車に揺られながら、私は今横浜中華街を目指している。

といっても、中華を食べる訳でもなければ、横浜スタジアムへ野球を見に行くわけでもない。

水族館へ行くのだ。

その名も『ヨコハマおもしろ水族館』。

大型水族館に隠れ、影は薄いが名前のインパクトは強い。

「俺、面白いよ」という人に限って期待値が上がりすぎて、そこまで面白くないのがこの世の常である。

その名前が課すハードルの高さを己は自覚しているのだろうか。

猜疑心片手に私はJR石川町駅の改札を降りる。

歩みを進めると、いかにも中華街な門が目に飛び込んできた。横浜中華街のお出ましだ。

中華街の中へ入ると、休日だからか非常に賑やかだ。

アジアの市場を想起させる香りだ。一段と人混みが増えてきたようだ。

おや、Googleマップが水族館を示している。まさか、この通りに水族館があるなんて。

上を見上げるとなんと、『ヨコハマおもしろ水族館』の看板が見えるではないか。

商店街のど真ん中である。3Fにあるみたい。

ダイソーの中を経由して、行くのか。

フロアに到着し列に並ぶと、二組ほど前にいた。やはり、休日だから混んでいそうだな。

『1500円です!』

チケット意外と高い。これも中華街価格か、仕方がない。甘んじて受け入れる。

入り口を抜けるといきなり、華やかな水槽が目に飛び込んできた。

『珊瑚水槽区』と書かれている。文字から装飾まで中華だ。水族館も中華テイストなのだな。ここまで、主張がはっきりしているとわかりやすい。

中国のテーマパークにいるような気分だ。

スタッフルームのドアも中華風だ。細部にもこだわってるなぁ。これは確かに名前通り、面白いかも。

続いての展示はたこ焼きだ。たこ焼きの上をタコが泳いでいる。彼(彼女)は自らがこの丸い物体の中に入る運命を自覚しているのだろうか。

なんだか、腹が減ってきた。そういえば、昔水族館と刺し身を一緒に展示して軽く炎上した水族館があったような。

とはいえ、我々は普段生きているものを殺してその命を頂いている。にも拘わらず、汚い部分は見たくないというのは個人的にはなんだか受け入れがたい考えだ。

食として魚を捉えて、頂くということは、残酷なことではなく現実に私たちが日々行っている普通のことなのだと思う。

おや、これはお寿司の水槽だ。どれどれ、メニューにはウマヅラハギ、メバルにスベスベマンジュウガニとあるな。

ウマヅラハギは初めて、釣りをしたとき逃がしてしまった苦い思い出のある魚だ。そして、スベスベマンジュウガニはなんと猛毒で知られるカニだ。

お寿司で提供されたら、あの世行きだ笑

ここからは変わったお魚のゾーンのようだ。解説、͡凝ってるなぁー笑

こちらはウツボだ。近くで見られるのは珍しい。噛みつかれると危険だが、ガラス越しで見ると目がぱっちりしていて可愛く感じる。エビとの絡みを観察していれば5分は時間を潰せそうだ。

ん、大きな看板が出てきたぞ。

日本初公開の白いオオグソクムシだという。いわゆるアルビノ個体だ。浅海で見られる生き物だけでなく、深海の生き物も展示しているのは心が躍る。

どれどれ、覗いてみようか。この水槽だけカーテンでおおわれている。アルビノ個体は光に弱いそうだ。

あれっ、何も見えないぞ。なんか奥の方に白いものがもやっと見えるような…

定かではないが、あれが白いオオグソクムシだったということにしておこう。水族館ではたとえ見たい生物がはっきりと見えなかったとしても、水槽を覗いたという行為が重要なのだ。

通常のオオグソクムシもたくさんいるなぁ。一人でこのグラサンをかけたオオグソクムシのキャラクターの下の空間を除く勇気はなかった笑

孤独に水族館を巡る良さは、自由に自分のペースで巡れることだが、このような体験系の展示ではそれが裏目に出る。もし、私が一人でここに顔を突っ込めば5割の確率で変人扱いを受けることになるだろう。

こちらは童謡水槽だ。『メダカの学校』という童謡は誰もが知っているらしいが、残念ながらメロディが浮かんでこない。しかし、雰囲気を楽しめれば問題はない。

続いては、竜宮城だ。この水族館一番の大水槽であろうか。華やかで、インスタ映えしそう。中華料理みたいに最後までこってりとしている。

おや、入ってから50分も経っている。もうそろそろここを出ないと。小さな水族館であるが、創意工夫の多さに驚かされた。

名前の通り、funnyでinterstingな水族館であったなぁ。出口はどこかな。

あれ?

なんと、この水族館おもしろ水族館と赤ちゃん水族館に分かれているのか!

場所という構造といい、つくづく想定外だ。あかちゃん水族館をゆっくり楽しむ時間はないが、オタク魂にかけて短時間で見切らなければならない。下駄箱が設置してある。小学校の頃を思い出し、なんだか懐かしい気分になる。こういうこだわりは素晴らしい。

幼魚や魚卵を中心に展示しているのだな。これはカクレクマノミの赤ちゃん。サイズはとても小さいが、形は成熟した個体と大差がない。

ウミガメの子供だ。中華街のど真ん中3Fでその姿を拝めるとは。水槽の中を人間の赤ちゃんばりに元気に暴れまわっている。

これは、滑り台の下が水槽になっている。体重で壊れないのか心配だが、アクリルガラスは相当上部なのだろう。

そろそろ出なければ。最後は少し駆け足になってしまったが、赤ちゃん水族館もなかなか、面白かった。水槽の中に、仕掛けや工夫がいっぱいで高校や大学の文化祭を思い出す。童心を取り戻させてくれる空間であった。

駆け足で帰宅の途につく。中華は食えなかったが心は満たされた。

夜は久々に寿司でも食うか。

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孤独の水族館シリーズはこちらから。

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