熱水噴出孔が生み出すバイカル湖 の特殊な生態系とは?

皆さんは バイカル湖 をご存知だろうか?

バイカル湖はロシアのシベリア南西部に位置する世界遺産の湖で、40mに達する透明度、水深、貯水量ともに世界一である。

最大水深が1,634 - 1,741mと世界で最も深い。また、世界中の凍っていない淡水が、17~20%もここに存在しているという。

シベリアという寒冷地に位置するため、生き物が暮らすには適していないように考えられるが、バイカル湖の湖底に熱水噴出孔が存在し、これがバイカルの固有な生態系を形成している。

バイカル湖には1,000種類以上の動植物が暮らしているが、その中でも7割が固有種だと言われている。

今回はそんな独特の生態系を持つバイカル湖の生き物たちを解説したい。

バイカルアザラシ

バイカルアザラシ

バイカルアザラシは唯一淡水に住むアザラシで、世界に19種いるアザラシの中で一番小さい。

その愛らしい見た目からバイカル湖の象徴的な存在となっている。

このアザラシは非常に眼が大きいことが特徴であり、透明度の高いバイカル湖で捕食をするのに適した特徴となっている

現在日本国内では7園で、21頭が飼育されており、繁殖にも成功している。

バイカルチョウザメ

バイカル湖 バイカルチョウザメ

バイカルチョウザメの体長は最大2mほどになる。

チョウザメはサメと名前につくが、サメとは全く異なる生き物で、そもそもサメのように軟骨魚類ではなく、硬骨魚類だ。

外見がサメに似ているため、チョウザメと呼ばれるようになったという。

バイカルチョウザメは主にバイカル湖の北端に生息しているが、湖に繋がるセレンガ川に産卵のために遡上することが知られている。

キャビアで有名なシベリアチョウザメの亜種であり、シベリアチョウザメがバイカル湖で独自の進化を遂げ、バイカルチョウザメとして分岐したと考えられている。

バイカルチョウザメの卵もキャビアとして有名で、養殖もなされている。

バイカルチョウザメの仲間のシベリアチョウザメのキャビアはAmazonで購入することができ贈答品としてもおすすめだ。

オームリ

バイカル湖に生息するサケ科シロマス属の魚である。

バイカル湖周辺の人々にとって、オームリは重要な食糧資源の一つであり、ロシアでは美味、珍味として知られており、輸出用として経済的にも重要な水産資源となっている。

1940年には年間漁獲高6万トンから8万トンに達しピークを迎えたが、乱獲による減少のために1969年に漁獲停止となり、その後1974年に厳しい漁獲制限規制を伴い再開された後は幾分生息数が戻っている。

オームリはバイカル湖周辺でしか食べれない幻の魚として知られており、特にオームリの燻製は絶品とされている。

ゴロミヤンカ

バイカル湖にすむ淡水性のカジカの一種。

ゴロミヤンカは完全に透明で、ウロコも浮き袋もなく、背骨と血管が透けて見える。

身体の35%以上が脂肪となっている。ゴロミヤンカは野生のバイカルアザラシの、主な餌のひとつとなっている。

また、人間も食べることができ、ロシアの人たちはウォッカのつまみとして、このゴロミヤンカを食しているという。

まとめ

このように、様々な独特な生き物が生息しているバイカル湖だが、現在は富栄養化により、汚染が進んでしまっているという。

具体的には、グリーンスライムとも呼ばれる分厚い緑藻が大量に発生、増殖を続けており、工場からの排水や未処理の下水などの流入による富栄養化によるものと思われる。緑藻の増殖は生態系に大きな影響を与えつつあり、オームリが急激に減少しているという。

加えて、温暖化による水温の上昇や栄養塩濃度の上昇により、富栄養化が加速し、藻類の増殖を後押ししこれが透明度の低下につながっている。

政府も力を入れて、対策に取り組んでいるらしいが、是非「東洋のガラパゴス」と言われるバイカル湖の生態系が維持されることに期待したい。

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