四国水族館から読み解く 『水族館未来の形』

孤独の水族館というテーマで連載をしていますが、今回は未来の水族館をテーマに包括的に水族館というエンターテインメント施設を考えたいと思います。

四国最大級の水族館がOPEN!

さてさて、先月から、始めた水族館の未来を考えるシリーズ。
今回の思考のタネは2020年6月1日にOPENした四国水族館です!

昔から四国に大きな水族館あったら絶対、行くのにな~と思ってた自分にとってこの水族館の誕生は一大ニュースでした笑

というのも四国以外の全国各地域には、その地域を代表する巨大水族館が存在していました。(北海道は一つには決めがたいですが。)
そして、ここにきてようやく四国にも地域を代表するような巨大水族館が誕生しました。

この水族館から『水族館の未来の形』についてどんなことが考察できるのか見ていきましょう。

【四国水族館】
四国の玄関口・香川県宇多津町に位置する四国最大級の水族館。2020年6月にOPEN。

①時間や季節に応じて展示を変える。

最近、昼だけだなく夜もおしゃれに営業している水族館が特に首都圏を中心に増えていますよね~

夜の遊休時間を活用するというのは、最近の水族館の一種のテーマになっていると言っても過言ではありません。

また、水族館の一つの課題がリピート率。たしかに、水族館や魚好きでもなければ水族館なんて2, 3年に一度行くか行かないか。この回転率をいかに高められるかが収益向上の一大ポイントとなってきます。これに対する一つのアイデアが時間帯(昼・夜)、また、季節(春夏秋冬)に応じて展示を変えてしまうこと。

一つの水族館なのにあたかも違う水槽のように来館者に感じさせることで消費者の新しいものを見たいという需要を刺激します。
消費者心理を考えると水族館というのは、

a. 日常では触れない魚や水生生物を見て知的好奇心を満たす。(新奇性)
b. ラッコやイルカといった生き物を見て癒しや美しさと言った体験を求める。(癒し、美しさ)
c. 体験をシェアすることにより、喜びを得る。(インスタ映え、写真撮影)

上記の体験を、入館料を払って精神的に豊かになる場所であります。
展示内容の変化が少なければa,cの需要で水族館を訪れる顧客というのは1年や数年といったサイクルでリピートする可能性は少ないでしょう。
このリピート率の改善を叶える施策が上記のような施策かと思います。

例えば、夜の水族館。夜に照明の明度を落とすことで昼間は活動的でなかった生物が動き出して〇〇という生物の生態がわかる!だとaの需要に適いますし、季節によって水槽の色合いなんかを変えてやれば写真の写り方に変化が出てcの需要に適うかなと思います。

いずれにしても時間帯や季節に応じて変化を出すことで、顧客体験の何が変わるのか?これを明確にすることが大切で、今後の水族館の新たな需要創出の可能性を生み出していくことでしょう。川崎水族館の昼と夜でチケットを別々にしてしまうという施策は非常に面白いですね。

②AI技術の導入=館内の案内システムへ。

前回紹介したかわすいがライブ映像解析にAIを用いていたのに対して、四国水族館は館内の案内システム(質問対応等)にAIを用いているのが大きな違いですね。AIによる館内案内や質問対応がどのくらいの精度なのか興味がありますね。顧客からすると、このような質問対応システムは新奇性があって面白いでしょうけど、本質的なことを考えるとこの質問対応システムが従業員の顧客対応工数を削減するくらい高性能なものなのかということです。

僕が、ユーザーだったら本当に聞きたいことは使い方のよくわからない機械よりはやっぱり人に聞いてしまうかなと思います。

③MR技術の導入=龍宮の景

水槽の無い展示=MR技術を用いて、香川県三豊市の龍宮伝説を表現しているそう!感覚的にはチームラボに近いのではないでしょうか??
水族館でMRがどのくらいの完成度で表現されているのか?また、水槽を用いた展示に比べて、費用対効果がいかなるものなのか注目したいものです!

MRを展示に導入している例でいうと、アクアパークしながわのイルカショーがあります。上からふり注ぐ水にプロジェクターを照射して、華やかに見せています。

前回記事でも述べたようにこの技術による展示が上手くいけば『水族館の展示は生物を飼育しなければならない』という市場のルールを根本的に変えかねない技術ですよね。

顧客体験を考えると、上のa,cを満たしている展示なので十分に集客は見込めそうですよね。

まとめ

最新水族館のポイントは①時間・季節に応じた異なる顧客体験②AI技術をどこにどのように組み込む?③VR・AR・MRの展示への活用の3つに集約されそうですね~

特にAI技術に関しては、いかに効率化を進めるポイントにこれを投入できるかが鍵かと思います。シェア

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