2022年9月 水族館ニュース

2022年9月 水族館ニュース

今月も2022年の9月の水族館ニュースを紹介する。

今回は水族館の老朽化というテーマで【水族館2020年問題】についても言及しているので、是非最後まで読んでいって欲しい。

 ①老朽化でピンチ。国内最古の魚津水族館

魚津水族館:富山県の水族館。現存する日本の水族館の中で最も歴史が深い。

日本最長の歴史を誇る魚津水族館が老朽化でピンチを迎えている。

例えば、去年一月に造波装置が経年劣化で故障。海水を取り込む重要な役割を果たす取水管も破壊のリスクがあるという。

公営の水族館が多かった昔と比べ、企業がレジャー施設として集客に力を入れた私設の水族館が増えてきた。

人口が減少し、財政も縮小する地方公共団体が運営する水族館はこれからますます経営が厳しくなっていってしまうだろう。

 ②アカウミガメの繁殖可能な年齢が判明

沖縄美ら海水族館でアカウミガメの繁殖可能な年齢が判明した。

美ら海水族館では、雌のアカウミガメを飼育しながら、毎年、エコーによる生殖腺の観察や直甲長の計測を行ってきた。

アカウミガメの繁殖が可能な年齢が18歳から22歳で始まるというから、人間とほぼ同じ感じだ。

アカウミガメは寿命も7~80年と人間と近しく長く生きる生き物だ。

アカウミガメは絶滅危惧種であり、

性成熟まで時間がかかるということはそれだけ個体数の回復にも時間がかかるということである。

しかし、繁殖可能年齢を正確に把握できることで人間の手による繁殖成功や、保護の確率が高まるため今後の動きに期待だ。

 ③水族館の科学者が快挙。カリブ海サンゴの産卵に初成功

エルクホーンサンゴ:カリブ海の重要な造礁サンゴ。かつてはカリブ海の広いエリアを占めるサンゴであったが、急激にその数が減少し絶滅が危惧される。

フロリダ水族館の研究者がエルクホーンサンゴの初繁殖に成功した。

エルクホーンサンゴはかつてカリブ海中に広がっていたが、気候変動や人為的要因により、急激に個体数が減少していた。

このサンゴは、そもそも水族館での飼育が非常に難しかったという。

しかし、水族館の研究の成果が実り水族館での繁殖が可能なまでになったのだ。

このサンゴは環境を守るだけでなく、ハリケーンによる高波を打ち砕き被害を軽減する防波林としての役割もある。

この研究成果はカリブ海の海岸保護という観点でも大きな功績となる研究成果だ。

 水族館の2020年問題とは?

今月のニュースで魚津水族館の老朽化問題を取り上げた。

皆さんは水族館に2020年問題という経営課題が存在するのをご存じだろうか?

一般に水族館は30年で大規模な改修が必要といわれる。

1980年代後半から90年代のバブル期に、自治体が主体となった大型施設の開業が相次ぎ、これから10年前後で改修期を迎えるため2020年代に改修される水族館が集中するという問題だ。

【2024年最新版】日本の 水族館の歴史

日本の 水族館の歴史 意外と知られていないが、実は日本は世界一水族館数の多い『水族館大国』である。 日本は世界第六位の海洋面積を誇るため、海が身近なのだろう。 今…

地方人口が減少し、財源の確保が年々難しくなっている地方自治体にとって、水族館の大規模改修による支出は大きな痛手だ

直近改修が発表された水族館でいうと

・須磨海浜水族園(2024年3月末にリニューアルオープン予定)

・葛西臨海水族園(2026年度リニューアルオープン予定)

・しながわ水族館(27年度にリニューアルオープン予定)

などで既に一度閉館し大規模リニューアルすることが発表されている。

特にしながわ水族館などは目玉であったイルカショーが廃止されるというから驚きだ。

直近はかりゆし水族館の経営にDMMが参戦、オリックスが完全人工海水のすみだ水族館、京都水族館を運営するなど大企業も続々と水族館事業に参戦している。

こうなると、マーケティングに資本をつぎ込めるこれらの水族館と比べて、公営の水族館が見劣りしてしまうのは致し方ないことだ。

一方で、茨城の大洗水族館は公営の水族館でありながら、2020年にはクラゲ大水槽を新設。更には2024年をめどにジンベイザメ館を新設する予定であり、積極的に市が投資を行っている。

これは当館が茨城県を代表する観光名所であるため、市も力を入れているというのがあるだろう。

民間企業が手を出さない地方に位置する巨大水族館であれば地域の観光名所として今後も発展の目途はありそうだ。

2020年代は特に水族館の新陳代謝が盛んな期間となりそうだ。

月次のニュースで水族館の新設や閉館についても随時追っていくので是非興味を持った人はブックマークして欲しい!

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