2023年以降の水族館の在り方につて考える 〜2022年12月 水族館ニュース 〜

2022年12月 水族館ニュース

今月も、12月の水族館ニュースを紹介する。

皆さんは水族館の需要期をご存じだろうか?

Googleトレンドというツールを使うと季節別の特定のKWの検索量を調べることが可能だが、「水族館」というキーワードを入れて検索してみると、ゴールデンウィークや夏休みの長期休暇時が水族館需要のピークで12月や1月といった季節は閑散期であることがわかる。

結論、12月含め冬のシーズンは寒くて、外出に適さないシーズンであるため、水族館にとっては非需要期であるのだが、冬のシーズンに集客を高めるため、各水族館は手を打っている。

冬の水族館の取り組みに着目して、12月の水族館ニュースをふり返りたい。

① デンキウナギの電気でクリスマスツリー点灯

前述したように冬は水族館にとって、非需要期のシーズンであるが、11月にはハロウィン、12月にはクリスマス、1月は正月、2月はバレンタインとイベントに絡めた企画を打ちやすいシーズンでもある。

特にクリスマスというのはその中でも最大のイベントだろう。

ゴールデンウィークや、夏休みとは異なり、カップルがメインターゲットとなり、いつもとは違った客層を取り込むことが出来る。

各地の水族館で様々なクリスマスイベントが開催されているが、中でも今年の企画で面白かったのが鳥羽水族館のデンキウナギのデンキでツリーを点灯させるという企画だ。

ただ単に、装飾をしたり、サンタの恰好をした人が登場するだけでなく、動物の特性を活かしたリアルタイム感のあるイベントで面白い。

② 京都水族館内にグランピングドームが誕生

京都水族館では冬の寒さ対策に特化した「冬のあったか水族館」という特別企画が誕生。

2022年12月23日(金)~2023年2月28日(火)の期間行われるという。

こちらも冬の季節を上手く利用したイベントである。

具体的な企画内容としては、イルカドームにグランピングドームを設置し、屋外でも温まりながらイルカショーを鑑賞できるとのこと。

流行りのグランピングドームを使用し、ドームに入りながらイルカショーを鑑賞するといういつもとは違った体験が楽しめる。

中にはソファーも設置されており、リラックスしながらイルカショーを楽しめそうだ。

人工海水を使った内陸型水族館であるが故に大規模な水槽は設置できない京都水族館だが、こういった季節イベントで存在感を出していて何回も訪れたくなる。

➂ アクアマリンふくしまのカジキが死ぬ

水族館での展示飼育日数(84日)で世界最長記録を更新中だったバショウカジキが19日朝死亡した。

以前に「水族館で展示できない生き物」という記事でも紹介したが、マグロやバショウカジキといった魚は水中を100km近い高速で泳ぐため、飼育に広大なスペースが必要となり飼育が難しい。

特にバショウカジキはマグロより体が大きいため、なおさらだ。
※マグロは葛西臨海水族園で円型の水槽を使用することにより長期飼育が可能となっている。

当館はこれまでに2度バショウカジキの飼育に挑戦しており、今回が3回目だという。

過去二回の死因は高速で水槽内壁に激突し、頭の骨が折れたことだった。

長期的に飼育することが可能となれば、非常に見ごたえのある生き物であると思うので、今後も同館の挑戦に期待だ。

2022年に誕生した水族館をふり返る

年末ということで2022年に誕生した水族館をふり返っていきたい。

2022年は3館の水族館が新たにオープンした。

横浜開運水族館 (2022年3月26日)

今年一番最初に誕生したのがこの横浜開運水族館。昨年、12月に閉館した横浜おもしろ水族館が横浜開運水族館という形で生まれ変わった。

入口でおみくじを引き、占いをしながら館内を回るという面白いシステムの水族館となっている。

私も足を運んだが、全体的に展示自体は前進のよこはまおもしろ水族館と変わりはないが、システムを変えより若者受けしやすい営業形態となっている。

横浜中華街の真ん中にある水族館であるため、こういった業態の方がウケるのは間違いないだろう。

スマートアクアリウムしずおか (2022年4月27日)

静岡駅の松坂屋に誕生した都市型水族館。2020年に川崎水族館が誕生したのをきっかけに駅前の商業施設の中水族館を作るという形態が生まれた。

静岡水族館もいわゆる都市型水族館のうちの一つ。

敷地面積自体は小さいものの、狭い館内を上手く使って体験別にエリアを分けた展示となっている。

今年は訪れることができなかったが、来年は是非訪れて記事にしたい。

みなとやま水族館 (2022年7月1日)

旧湊山小学校跡に誕生した水族館。

小学校の施設を活かした展示となっており、水槽の前にクッションがあったり、靴を脱いで上がれるスペースがあったりと面白い仕掛けとなっている。

また、ニジマス釣りやドクターフィッシュなどのアクティブな体験も可能。

こちらは記事にしたので、是非読んでいただきたい。

2023年以降の水族館はどうなっていくか?

今年も誕生した水族館をふり返ってみると、どれも小規模な水族館ばかりとなっている。

昨今の水族館の流れとしては、敷地面積と総水量をなるべく小さくして、かつ人流の多い都心に建設した水族館が非常に多くなっている。

日本全体が不景気が続くなかで、敷地面積あたりの売り上げを最大化したコンパクトな営業形態がトレンドであるように感じる。

実際、コロナ禍で外出が制限された2020年には、水族館は人が来ないのに飼育費と土地代ばかりがかさみ、大赤字となった。

2020年に誕生したカワサキ水族館は、運営やマーケティングの不備もあったとはいえ、コロナの煽りをもろに受け、運営会社が破産してしまった。

今後もコロナやウクライナ情勢がどうなるかわからない中で、水族館も「効率」を重視した形態に変化しつつある。

また、敷地面積や総水量を小さくすることで、都心の高価な土地代に対応するとともに、いざというときには速やかに撤退できるため、合理的だ。

今後も、こういった業態の水族館が増えていくことが予測される。

一方で、やはり沖縄美ら海水族館や名古屋港水族館、海遊館等の巨大な水槽で感じる感動は格別なものがるあるのも事実だ。

小規模で行きやすい水族館が増えれば増えるほど、こういった大規模水族館の良さがより際立つだろう。

神戸須磨シーワールドのように新規で誕生する大型水族館も存在するため、今後の大規模水族館の進化にも期待したい。

この記事が今年最後の記事となるが、今年も当ブログをご覧いただいた水族館ファンの皆様、およびに他の記事からこのブログを訪れた皆さまに心より感謝を申し上げたい。

来年もよろしくお願い致します

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