チル文化はなぜ流行っているのか? 〜2022年6月 水族館ニュース〜
水族館ブログ 孤独の水族館 6月号
今月はしなすいに続いて、桂浜水族館でも動物ショーの中止が発表。また、引き続き水族館の今後の在り方について調べるべく、若者の間で流行している「チル」文化から水族館の可能性を探った。
Table of Contents
①伊豆三津シーパラダイスでアカメの展示がスタート
静岡県沼津市の伊豆三津シーパラダイスで日本三大怪魚の一つアカメの展示がスタートした。
アカメ:静岡県以南の太平洋岸に生息し、高知、宮崎両県周辺が主な生息地とされる。個体数が減少しており、環境省の絶滅危惧種に指定されている。イトウ、ビワコオオナマズと並び日本三大怪魚とされる。
アカメは成長すると1メートルを超える大魚で、釣り人の間で一生に一度は釣りたい魚として拝まれている。
水族館で展示される機会は稀なので是非、この機会に身に行きたい。
②桂浜水族館が動物ショーの中止宣言
高知市の桂浜水族館がSNSで動物ショーを辞めることを宣言した。
これまで桂浜水族館では、様々な動物のショーが、人気を集めていたが、コロナ禍に、密をさけるために中止にしており、その間、ショーにかけていた準備の時間をトレーニングや健康管理に使ったところ、動物も、飼育員も、「生き生き」としていたことから廃止の決断に至ったという。
先月もしながわ水族館のイルカショーが廃止になるニュースをお伝えしたが、しなすいとは異なる理由でこのような決断に至ったようだ。
ショーを披露していた動物たちの展示が終わるわけではないので、彼らの活き活きとした姿に注目したい。
また、桂浜水族館はTwitterが面白い水族館として知られており、こちらの記事でSNS活動について解説している。
是非、チェックしてみて欲しい。
➂浅虫水族館がホタテの刺身を水槽前に展示
浅虫水族館が水槽の目の前にホタテの食品サンプルを並べたユニークな展示方法を行い話題になっている。
展示サンプルは「ホタテの刺し身」「ホタテの貝焼きみそ」「ホタテ貝のみそ汁」「ホタテフライ」の全4種類。
水槽の前に刺し身を並べる展示や、生き餌を魚に与える姿を公開する手法を水族館が行うと賛否両論集まることが多いが、個人的には賛成のスタンスを取っている。
我々は実際に生き物の命を頂いているのだから、水族館にまで来て生き物が食品になるまでのプロセスを知りたくない想像したくないというのは少し身勝手に感じる。
生き物が食事に関わるプロセスには多くの人が関わりプロフェッショナルとして活動している。
かつてはこういった人たちがえた・ひにんとして公に差別された時代もあったが今は違う。こういった展示を通して命を頂くありがたみを再認識して食品ロスなどを減らすきっかけとして欲しい。
今月書いた記事
前月からシリーズものとして書き始めた世界の水族館シリーズ第二段は中国編。チャイナマネーはやっぱりすごい。
水族館密度世界一のイギリスのおすすめ水族館を解説。
オイルマネーははんぱない!中東(UAE)の世界を代表する水族館たちを紹介。
水族館を日常的に楽しめる場所にするには?
チル文化はなぜ若者の間で流行った?
昨今、若者の間でチルという文化が流行っている。チルはもともと英語のヒップホップ用語で、「chill out」が語源となっており、落ち着くやリラックスするといった意味を持つ。
具体的には、
・おしゃれなカフェでまったり過ごしている
・シーシャを吸ってリラックスする
・海辺でのんびりする
みたいにリラックスすることをチルという。
若者の間でチル文化が流行っている理由として
・SNSで常に他者と繋がっている(比較されている)心理状態からの解放
・(コロナ禍でも楽しめる)インドアな趣味の流行
などが挙げられる。
非日常を感じながらリラックスできるシーシャの流行
特にチルを代表するツールといっても過言ではないのが、シーシャだ。
水パイプを使用して喫煙するタバコのことで、昔はアンダーグラウンドなお店も多かったが今では若者向けのインスタ映えする綺麗なお店も増えている。
中近東発症であり、エスニックな雰囲気=非日常を感じながらリラックスできる点が若者の間で流行っている理由の一つだろう。
水族館はチル文化と相性抜群
このような観点から水族館を考えてみると、異世界感を感じられるというのは水族館の最大の強みであると思う。
大自然の海の中にいる感覚というのはこの上なく、非日常を感じられる体験である。
また、水族館の照明を落とした神秘的な雰囲気がリラックス=チルとマッチしているのだ。
例えば、平日の夜のお客さんが少ない時間を活用して大水槽前にカフェテリアのようなリラックススペースを作ったら、一定大学生や社会人などの集客が見込めるのではないだろうか。
このチルの流行に乗じて、水族館の夜の時間の体験を以前とは全く異なるものにリメイクしたら、顧客から単発的にではなく、継続的にお金をとれるビジネスモデルに水族館は生まれ変われるのではないだろうか?
今後も毎月、水族館ニュースを発信していくので面白かったらブックマークして欲しい!