閉館した水族館の跡地は今どうなった?油壺・東京タワー・松島など8館の行方

閉館した水族館の跡地は、「また水族館になる」「まったく別の施設になる」「何も決まらないまま空く」の3通りに分かれる。

全国8館の行方を追うと、どれになるかを決めていたのは生前の人気ではなく、建物の持ち主と立地だった。ビルの中に入っていたテナント型の水族館は数カ月で次が入り、郊外の大型館ほど跡地が長く空いている。

8館の跡地は今こうなっている

まず一覧を示す。「次の用途まで」は閉館日から次の施設が開業するまでの期間だ。

水族館所在地開館閉館跡地の現在次の用途が始まるまで分類
マリンピア松島水族館宮城県松島町1927年4月2015年5月10日商業施設「宮城県松島離宮」(2020年10月開業)約5年5カ月別の施設
犬吠埼マリンパーク千葉県銚子市1954年(銚子市水族館として)2018年1月31日跡地利用の発表なし—空いたまま
東京タワー水族館東京都港区1978年2018年9月末フットタウンにeスポーツ施設「RED° TOKYO TOWER」(2022年4月開業)※区画の対応は要確認約3年7カ月別の施設
志摩マリンランド三重県志摩市1970年2021年3月31日(営業休止)跡地利用の発表なし—空いたまま
京急油壺マリンパーク神奈川県三浦市1968年4月2021年9月30日キャンプ場(2022年1月暫定開業)→リゾートホテル計画を検討中約4カ月(暫定利用)別の施設
ヨコハマおもしろ水族館神奈川県横浜市2004年7月2021年11月23日「横浜開運水族館 フォーチュンアクアリウム」(2022年3月開業)約4カ月水族館に戻る
須磨海浜水族園兵庫県神戸市1987年(前身は1957年)2023年5月31日「神戸須磨シーワールド」(2024年6月開業)約1年水族館に戻る
UWS AQUARIUM GA☆KYO東京都港区2022年7月2026年8月31日後継の発表なし—空いたまま

8館の内訳は、水族館に戻ったのが2館、別の施設になったのが3館、空いたままが3館。閉館理由が判明している館のうち、須磨、油壺、松島、犬吠埼、志摩の5館は老朽化を理由に挙げていた。水族館の閉館は、人気がなくなったからというより、建物と設備の寿命が来たときに「建て替えるか、やめるか」を迫られて起きることが多い。

水族館に戻った跡地は2カ所しかない

須磨海浜水族園は「公園ごと」作り直された

神戸市立の須磨海浜水族園は2023年5月31日に閉園し、約1年後の2024年6月1日、同じ場所に神戸須磨シーワールドが開業した。前身の市立須磨水族館は1957年に開園し、1987年に須磨海浜水族園としてリニューアルしている。

戻れた理由ははっきりしている。土地が市の公園で、市が水族館を残す前提で民間事業者を公募したからだ。再整備はPark-PFIという制度を使い、サンケイビルを代表とする共同事業体が水族館、ホテル、園地、商業施設をまとめて整備した。水族館の建て替えというより、海浜公園の作り直しの中に水族館が組み込まれた形になる。

ヨコハマおもしろ水族館は4カ月で次の水族館に

横浜中華街のチャイナスクエアビル3階にあったヨコハマおもしろ水族館は、2004年に「よしもとおもしろ水族館」として開業し、2021年11月23日に閉館した。

そのわずか4カ月後の2022年3月26日、同じフロアに占いをテーマにした「横浜開運水族館 フォーチュンアクアリウム」が開業している。

ビルの一室で水族館を営業するには、水槽の重さに耐える床、給排水の配管、防水などの設備がいる。こうした設備が残る区画は、同じ水族館という業態が入れば改装費を抑えられると考えられる。跡地が再び水族館になったのは、偶然というより合理的な結果だろう。

[写真:閉館前のヨコハマおもしろ水族館]

[↓アソビュー:横浜開運水族館 フォーチュンアクアリウムの前売りチケットはこちらから↓]



別の施設になった跡地は「人を集める場所」のまま

マリンピア松島水族館は商業施設「松島離宮」に

宮城県松島町のマリンピア松島水族館は1927年に開館し、2015年5月10日に88年の歴史を閉じた。富山の魚津水族館に次ぐ長寿の水族館で、東日本大震災の津波被害からも営業を再開していた。

跡地には2020年10月、商業施設「宮城県松島離宮」が開業した。飲食店や土産物店、博物館、松島湾を見渡す屋上庭園などが入り、円形の外観に水族館時代の名残がある。閉館から約5年半がたっていた。水族館の役割は、仙台港の近くに2015年に開館した仙台うみの杜水族館が後継として引き継いでいる。場所を移したことで、松島の跡地は水族館以外の観光拠点として使われることになった。

東京タワー水族館の跡にはeスポーツ施設

東京タワーの足元、フットタウンにあった東京タワー水族館は1978年に開設され、2018年9月末で営業を終えた。閉館前には、運営会社と東京タワーを運営する日本電波塔との間で賃料の未払いをめぐる対立が報じられている。生き物たちは翌月までに、しながわ水族館やアクアトト・ぎふ、鳥羽水族館など全国の施設に引き取られた。

その後フットタウンは改装され、2022年4月20日に大型のeスポーツ施設「RED° TOKYO TOWER」が開業した。1階と3〜5階、約5,600平方メートルを使う施設だ。

[写真:閉館前の東京タワー水族館]

京急油壺マリンパークはキャンプ場からリゾートホテルへ

神奈川県三浦市の京急油壺マリンパークは、京急の創立70周年記念事業として1968年4月に開業した。ピーク時には年間約88万人が訪れたが、2019年度には約26万人まで減り、2021年9月30日に53年の歴史を終えた。

跡地は2022年1月24日、「京急油壺温泉キャンプパーク」として暫定的に使われ始めた。当初は2025年度に新施設を開業する計画だったが、2025年10月3日に京急と三井不動産がリゾートホテルの整備を検討する協定を結んだ段階で、開業時期はまだ見えていない。隣接する「ホテル京急油壺 観潮荘」も2024年3月に閉館している。

この跡地の行方には、京急の経営判断がそのまま表れている。京急は、三浦半島は日帰り客が多く滞在時間が短いことが課題だと分析していた。水族館は日帰り客を呼ぶ施設だ。地域に泊まってもらう方向へ舵を切った以上、水族館を建て替える選択肢は外れたと読める。

[写真:閉館前の京急油壺マリンパーク]

空いたままの跡地は郊外に多い

犬吠埼マリンパークは閉館の2日前に発表された

千葉県銚子市の犬吠埼マリンパークは、1954年に銚子市水族館として開園した。京成電鉄の運営を経て地元企業が引き継いだが、ピーク時に年間30万人を数えた来館者は、震災後には4〜5万人まで落ち込んでいた。2018年1月29日に閉館を発表し、わずか2日後の31日に営業を終えている。耐震化や設備更新の資金のめどが立たないことが理由だった。

閉館後も施設にはイルカ1頭とペンギン26羽などが残され、2018年夏にはネット上で移送を求める声が広がった。跡地の利用計画について、公式な発表は見つからなかった。

志摩マリンランドは「閉館」ではなく「営業休止」

三重県志摩市の賢島にあった志摩マリンランドは、近鉄グループの水族館として1970年に開業し、マンボウの展示や海女による餌付けで知られた。2021年3月31日、建物や設備の老朽化を理由に営業を終えている。

運営側の表現は「閉館」ではなく「営業休止」だった。ただ、休止から5年半以上がたった今も、再開や跡地利用の発表は見つからない。

UWS AQUARIUM GA☆KYOは約4年で幕

お台場のアクアシティお台場3階にあったUWS AQUARIUM GA☆KYOは、2022年7月に開業し、2026年8月31日に営業を終えた。金魚や和の意匠をテーマにしたアート型の施設で、閉館を控えた2026年にもトリップアドバイザーの「トラベラーズチョイス」を受賞していた。評価の高さと営業の継続が必ずしも結びつかない例だ。

閉館から1カ月半の現時点で、後継テナントの発表は見つからない。ただし横浜の例と同じテナント型なので、次が決まるのは郊外の館より早い可能性が高い。

跡地の行方を決めるのは「持ち主」と「立地」

8館を持ち主と立地で並べ直すと、行方の違いが説明できる。 型 該当する館 跡地の行方 商業ビルのテナント型 ヨコハマおもしろ、東京タワー、GA☆KYO ビル側がすぐ次のテナントを探す。水族館が再び入ることもある 自治体が持つ公設型 須磨海浜水族園 自治体が存続を決めれば、民間の力を借りて建て替えられる 民間・私鉄の郊外大型 油壺、志摩、犬吠埼、松島 会社が土地の使い道を決める。今回の4館で、同じ場所に水族館が再建された例はない

郊外の大型水族館は、大水槽や海水の取水設備を抱えた装置産業だ。建て替えには巨額の投資がいるが、閉館の時点で来館者はピークから大きく減っていることが多い。持ち主が民間企業なら、同じ土地をホテルや商業施設に使うほうが回収しやすいと判断するのは自然だ。一方で、松島や油壺のように観光地の一等地にあれば次の用途が見つかり、犬吠埼や志摩のように需要が読みにくい場所では跡地が長く空く。

裏を返せば、今営業している郊外の大型水族館が建て替えの時期を迎えたとき、持ち主が自治体か民間かで「戻る」か「消える」かが分かれる可能性が高い。

(日本の水族館の歴史/全国水族館データベース)

まとめ

  • 8館の跡地は、水族館に戻る(2館)、別の施設になる(3館)、空いたまま(3館)に分かれた
  • テナント型は数カ月で次が入り、公設の須磨は1年で新しい水族館に生まれ変わった
  • 民間が持つ郊外の大型館は、同じ場所に水族館が再建されず、宿泊・商業施設になるか空いたままになっている

※情報は2026年10月時点のもの。跡地の状況は変わることがあるため、訪問前に最新情報を確認してほしい。

参考

  • 神戸市「須磨海浜水族園・海浜公園再整備【水族館】のFAQ」
  • 京急電鉄・三井不動産による油壺エリアの協定発表(2025年10月3日)を報じた各紙
  • 神奈川新聞(油壺マリンパーク跡地のキャンプ場)、時事通信(油壺マリンパーク閉館)
  • 横浜市観光情報サイト(ヨコハマおもしろ水族館の閉館)、All About ニュース(フォーチュンアクアリウム開業)
  • るるぶ&more(宮城県松島離宮)
  • タビリス・ねとらぼ(犬吠埼マリンパーク)、タイムズクラブ(観潮荘の閉館)、ウォーカープラス(志摩マリンランド)
  • UWS ENTERTAINMENTのプレスリリース(GA☆KYO閉館)

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