神戸須磨シーワールド の全貌を読み解く ~水族館未来の形~

今回は 須磨海浜水族園 のリニューアル計画と 神戸須磨シーワールド の全貌を読み解きたい。

前回の記事では、葛西臨海水族園のリニューアルにスポットを当てて解説した。

須磨海浜水族園も葛西同様、2020年問題による改修を迎えており、大規模な再建工事を経て神戸須磨シーワールドとして生まれ変わることが発表されている。

2020年問題:1990年代のバブルの頃に作られた、水族館や動物園といった多くの施設が改修目安時期の30年を迎えており、2020年代に一斉に改修時期となり、特に公立水族館の財政を逼迫する恐れがあるという問題。

須磨海浜水族園は前身の和楽園水族館が日本初の水族館と言われ、歴史ある水族館だ。
※諸説あり、日本初の水族館に関する議論については水族館の歴史にて解説。

以前、私も当館を訪れたことがあるが、敷地がとても広く、これまでに回った水族館の中で最も観覧時間がかかったのを覚えている。(2時間半超え)

たっぷり楽しめた一方、逆にいえば導線や展示を集約することで水族館の観覧体験をより密にできると感じていたため、今回のリニューアルには期待大だ。

下記から、神戸須磨シーワールドの全貌と、そこから想像できる水族館の未来の形について解説したい。

① 新たな目玉=シャチが須磨にやってくる!

神戸須磨シーワールド

現在、日本でシャチが見れる水族館というのは名古屋港水族館と鴨川シーワールドの2か所しかない。

神戸須磨市ワールドの運営元のサンケイビルが、日本唯一のシャチ・パフォーマンスを実施している鴨川シーワールドの運営会社を、2015年に買収したことで、シャチの展示及びショーの新設が実現したようだ。

シャチというのは、非常に大きな生き物で見ると、生で見るとその迫力に圧倒される。

シャチのショーも行われるということで、シャチの展示の新設により見込める集客効果は個人的にジンベイザメを超えるものがあると考えている。

以前の記事で解説したように、世界的にシャチやイルカといった大型海洋哺乳類の展示に対する反対の風潮が高まるなかで、シャチの展示に踏み切ったのは大きな決断であるし、個人的には支持したい

他にも、鴨川シーワールドのノウハウが須磨に用いられて、イルカショーやその他の動物ショーもクオリティアップすることが予想されるため、非常に楽しみだ。

また、シャチの水族館を見ながら、食事を楽しめるオルカレストランというのも、アイデアが面白く、これまでにない展示手法だ。

② 滞在時間3時間を目指す=水族館の大規模化

リニューアルにより水族館は大規模化する。

具体的には延べ床面積は2万2271平米で現在の1.5倍。総水量は1万4528トンで現在の約5倍となる。

これにより総水量ベースでみた規模は名古屋港水族館に次ぐ全国2位となり、海遊館を抜き西日本最大の水族館になるのだ。

事業者側は「見応えのある展示で平均3時間強の滞在時間を想定している」と話しており、通常の平均滞在時間が1時間半である水族館の顧客体験を大きく変えていこうという強い意志を感じる。

水量の面ではシャチやイルカといった大型哺乳類の水槽の新設及び拡張のインパクトが大きいのだろうが、3時間楽しめるとなれば他にもいろいろな見どころが必要であるため、その他の部分でどのような工夫がなされるのか期待が高まる。

➂ 博物館から一日楽しめるエンターテイメント施設へ

神戸須磨シーワールドの近くには、水族館の他にもリゾートホテルも新設されるようで、水族館だけでなく須磨一帯のシーライフを一日に楽しめるような施設にしたいという思いが感じられる。

全室オーシャンビューのホテルは7階建て80室に約270が宿泊可能。新設ホテル内には日本初のイルカとの触れ合いエリアを設けるという。

また、白砂青松の美景を損なわないよう、松林のクロマツは約7割の540本を保全する。木々の間には親子で楽しめるブック&カフェやグランピング、レストランなど、にぎわい施設3棟を配置するという。

須磨全体をリゾート化したいという思いが感じられる。

まとめ

リニューアルにより、須磨海浜水族園が西日本最大の水族館が誕生するのが非常に楽しみだ。

また、今後水族館が他のレジャー施設に勝っていくため、このような一日楽しめるテーマパークとして進化をしていく試みが日本でもどんどん生まれていって欲しい。

アメリカのシーワールドは、大規模な遊園地を併設しテーマパークのような造りとなっているし日本の水族館もエンターテイメント施設としてはまだまだ進化余地があるように感じる。

新水族館は、2023年度末開館予定だ。

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