【2024年最新版】 捕鯨問題 について解説。
今回は 捕鯨問題 にフォーカスを当てて解説したい。
皆さんは鯨を食べたことがあるだろうか?
最近では、あまりスーパーマーケットでも見かけない鯨肉だが、日本では歴史的にクジラが食べ物として捉えてきた。
下記のように日本では様々な地域でいろいろな種類の鯨が食べれている。
日本が欧米と対立している数少ないトピックが「捕鯨」が、欧米は捕鯨や鯨食に反対しているのだろうか?
ひとつは過剰な捕獲により、鯨の個体数が激減していることが要因としてあげられる。
鯨は過去から欧米でも鯨油の確保を目的に乱獲が行われてきた。
それにより、鯨の個体数が激減してしまったこと、また、石油の活用や産業の発展により鯨油を使う必要がなくなったことによる、欧米は捕鯨反対のスタンスに舵をきった。
鯨というのは鯨骨生物群集等生態系で非常に重要な役割を果たしている。
一方で近年は鯨の資源量が回復に向かっていると推測されており、それが日本が商業捕鯨復活に舵を切った理由の一つでもある。
もう一つの理由は動物福祉の観点によるものだ。
知能が高い鯨は食用に捕獲すべきではないというのが主な主張だ。
簡潔に欧米が捕鯨に反対している理由について解説したが、下記で世界・日本の捕鯨の歴史について深ぼる。
Table of Contents
捕鯨の歴史
古代からの捕鯨
捕鯨は何千年も前から行われており、古代文化では鯨の肉、油、骨が食料、燃料、工具などに使われていた。
特に沿岸部のコミュニティーで重要な役割を果たしていた。
商業捕鯨の開始
17世紀頃から、ヨーロッパ諸国を中心に商業捕鯨が盛んになった。鯨油はランプの油として、また工業用潤滑油として非常に価値があった。
19世紀のピーク
19世紀には捕鯨がピークに達し、多くの種類の鯨が乱獲されました。この時期、特に捕鯨技術の進歩により、捕獲量が飛躍的に増加しました。
20世紀の規制開始
鯨の個体数の減少が顕著になったため、20世紀に入ると国際的な捕鯨の規制が始まった。
1946年には国際捕鯨委員会(IWC)が設立され、鯨の保護と捕鯨の持続可能な管理を目的とした。
下記のグラフのようにIWCには反捕鯨国が多数派である。
日本を除くと、大きな国では中国やロシアなどが捕鯨に賛成している。
日本は戦後の1951年にIWCに加盟。当時、日本は第二次世界大戦後の食糧難を背景に、鯨肉を重要なタンパク質源として依存していた。
1986年の商業捕鯨モラトリアム
IWCは、鯨類の個体数の激減に対応するため、1986年から商業捕鯨を禁止するモラトリアム(一時停止)を採択。
日本を含む多くの捕鯨国はこの決定に反対したが、モラトリアムは実施された。
1987年 日本の科学研究捕鯨開始
商業捕鯨の禁止に伴い、日本は「科学研究」を目的とした捕鯨を開始。
この科学研究捕鯨は、IWCの規則のもとで許可されていたが、国際社会からは商業捕鯨の名目であると批判された。
2018年 日本のIWC脱退
日本はIWCに対し、捕鯨の持続可能な利用を認めるよう提案したが、この提案は否決される。
2018年12月: 日本政府は、2019年6月30日をもってIWCから脱退し、7月1日から日本の排他的経済水域(EEZ)内での商業捕鯨を再開することを発表。
日本は、IWCが商業捕鯨の持続可能な利用に向けた合意を得ることができなかったとして脱退の決定を下した。
2019年 日本の商業捕鯨の再開
2019年7月: 日本は約30年ぶりに国内水域および排他的経済水域内での商業捕鯨を再開。
これにより、日本は「南極海での科学研究捕鯨」を終了したが、IWCの枠組み外で捕鯨を続けることとなった。
日本はなぜ捕鯨を継続するのか?
日本が捕鯨を継続する理由としては、文化的背景が大きい。
日本では何世紀にもわたり捕鯨が行われており、特定の地域では鯨肉が伝統的な食材として重要視されている。
こういった鯨肉産業や地域の伝統を守るといったことが日本が捕鯨にこだわり続ける理由の一つだ。
一方で、日本における鯨肉の消費量は過去に比べて大幅に減少しており、全体の食肉消費に占める割合は非常に小さい。また、国際的な批判や規制による捕鯨の制約もあり、捕鯨産業の経済的規模は限定的となっている。
そのため、政治的な背景も強い可能性が考えられ、政治家と捕鯨産業の結びつき、外交上、日本の主張を簡単に曲げると今後も日本の主権や主張が脅かされる可能性があることが考えられるのだ。
捕鯨問題の今後
日本は現状、IWCから脱退し、独自に日本のEEZ内で商業捕鯨を行っている。
IWCから脱退したことにより被る不利益としては下記が挙げられる。
①南極海特有の鯨種の捕獲が難しくなる
IWC加入時は調査捕鯨として、捕獲できていた南極海でしか捕獲できない鯨種の捕獲ができていたが、IWC脱退により日本近海の鯨しか確保できなくなった。
南極ミンククジラやセミクジラなどが南極特有のクジラとして知られている。
➁鯨の研究に関する国際的な知見へのアクセスが難しくなる
IWCは鯨資源を管理するとともに、世界的な鯨に関するデータを集めて分析する研究機関でもあるため、これらのデータにアクセスできなくなるのは大きなデメリットだ。
今後のIWCと日本の関係性については、不透明だが、覇権国家・アメリカは捕鯨反対のスタンスを明確にしている。
昨年、9月には日米韓など14カ国が参加する新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の交渉で、米国が「捕鯨に反対」との立場を協定に明記するよう求め、日本の抵抗で見送っていたことがわかっている。
バイデン米政権内では環境保護の観点から反捕鯨論が根強く、経済協力の相手国に反捕鯨を徹底させたい米国の姿勢が浮き彫りになった形だ。
下記の表のように、日本国内での鯨の消費量は近年縮小傾向であり、捕鯨産業の影響力が小さくなっていること、欧米の反対へのスタンスが強いことを考えると、日本が国際社会との協調の観点から捕鯨をやめる方向に舵をきることも十分に考えられる。
一方で、捕鯨問題で日本が折れるとイルカショーやシャチの飼育なども動物保護の観点から辞めるように促される恐れが高い。
参照記事:日本で イルカショー は禁止になるか?
したがって、可能な限り、日本のスタンスを貫き抵抗を続けてほしいというのが筆者の考えだ。
引き続き、捕鯨問題の動きを見守っていきたい。