水族館で展示できない生き物

皆さんは、 水族館で展示できない生き物 が意外と多いことはご存じだろうか?

水族館で展示できない生き物は大きく下記の二つに分類される。

① 巨大すぎて捕獲しても飼育する水槽がない。

外洋に生息する巨大な生物=クジラ類

② 外洋の広範囲を移動するため、回遊できるほどの大きさの水槽がない。

外洋の広範囲を移動する生き物=ホオジロザメ、クジラ類

➂ 極限環境に生息するため、飼育方法が不明又は捕獲不可。

深海生物=チョウチンアンコウやダイオウイカ

水族館の未来を考えるうえで、これらの将来展示できる可能性がある生き物たちについても解説していきたい。

 ホオジロザメ

ホオジロザメ:映画『ジョーズ』のモデルで、人喰いザメの代名詞。平均的な体長は4~5m。外洋性のため、常に泳ぎ続けなければならず生体の長期展示に成功した水族館は一つもない。

ホオジロザメといえば、ジョーズで有名な人食いザメだ。

世間的な知名度も高く、展示すれば人気間違いなしだがこれまで日本の水族館で展示に成功したところはない。

ホオジロザメの飼育が難しい理由として外洋性の生き物であることとその体の大きさが挙げられる。

一般に自然界でホオジロザメは8月から12月、カリフォルニア沖で、アザラシやアシカなどを餌に暮らし、1月になると、ハワイ周辺の深海を目指して移動し始め、4月から7月には最も多くのホオジロザメがハワイ付近に集まるといわれている。(参考記事)

また、ホオジロザメはマグロなどと同じく泳ぎながら呼吸する生き物なので常に泳ぎ回っていないと窒息死してしまう。従って、巨大なホオジロザメがスピードを出して泳げるだけの水槽の大きさが必要だ。

このような広大なエリアを泳ぎ回る生物を狭い水槽の中に閉じ込めてしまってはそのストレスは非常に大きなものとなるだろう。

 クジラ

現在の水族館では、大型のクジラ類を飼育するのは技術的に不可能だ。

実はイルカも厳密にはクジラ目に分類される。クジラ目の中にはヒゲクジラ亜目とハクジラ亜目が存在し、ハクジラの中でも、体長5m以下のものをイルカと呼ぶらしい。

クジラといえば、シロナガスクジラやザトウクジラ、マッコウクジラなどが有名だが、非常に大型である。

また、クジラに関しては欧米では日本の捕鯨に対して強く反対するなど動物愛護の観点で非常に注目を集めている生き物である。仮に水族館で飼育できるように技術が発展しても倫理的な問題から飼育に踏み切るハードルは非常に高いと考えられる。

クジラに関しては、ホエールウォッチングで楽しむことができるので水族館で飼育する必要は低いのかもしれない。

 リュウグウノツカイ

リュウグウノツカイ:世界各地の水深200~1000mに生息する深海魚。成魚では最大で11mほどにもなる。銀色の体と赤色のひれを持ち、竜宮城を連想させることからこのような名前が付いた。オキアミなどの甲殻類やプランクトンを主に捕食する。

過去にのとじま水族館や、城崎マリンワールドが定置網にかかった生体を一時的に展示したものの数時間で死亡してしまった。

リュウグウノツカイの生体展示が難しい理由として、普段は深海に生息している生き物であるため、定置網などにかかる表層まで来ている個体は弱っている個体であることが多いためだ。

このような個体に捕獲や輸送ストレスを与えれば、なおさら生存確率は低くなるだろう。また、水族館自体がリュウグウノツカイの展示ノウハウを持っていないため適切な飼育環境を整えることが難しいという課題もある。

 チョウチンアンコウ

チョウチンアンコウ:メスの全長は40~50cm程度に対し、オスは極端に小さく、わずか5cmほどしかない。頭の上の誘引突起を光らせることで獲物をおびき寄せ、捕食する。

上述のリュウグウノツカイと同じように、深海魚であるチョウチンアンコウも生体を採取するのが難しい。また、チョウチンアンコウについては死んだ個体の採集例も全国でも非常に少なく、詳細な生息場所やその生態について、不明な点が多い。

 ラブカ・ミツクリザメ

ラブカ・ミツクリザメともに深海に生息するサメだ。どちらも、深海から浮上して表層で網にかかった時点で弱ってしまうため長期間の展示は難しい。ラブカは「生きた化石」というあだ名で、ミツクリザメはその特徴的な見た目でよく知られている。標本や剥製は各地の水族館で見ることが出来る。

 ダイオウイカ

ダイオウイカ:世界最大級の無脊椎動物。体長は最大で18mにもなると言われている。天敵はマッコウクジラ。生きている姿撮影されることは非常に珍しく、その生態については不明な点が多い。

前述したサメやクジラと同じようにイカも外洋性の生き物であるため、飼育に大きな水槽が必要となる。そのため、アオリイカなどの小型なサイズであれば問題ないがダイオウイカサイズになると、現状の設備で飼育するのは難しいだろう。また、イカは体が柔らかく、温度にも弱いため輸送や管理も難しい。

また、ダイオウイカは深海に飼育する生き物であり、その生態は謎に包まれている。従って、生態を捕獲できる可能性はチョウチンアンコウと同じく限りなくゼロに近い。

 まとめ

広大な海にはまだまだその生態が解明されていない生物も多く、もしかしたらまだ存在が知られていない生物が多数いる可能性がある。

沼津港深海魚水族館などでは、深海生物を展示する手法にかなり拘っておりこちらの本に細かい工夫がまとめられているのでおすすめだ。

今後、水族館で見ることができる生物が増えることに期待だ。

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