【2024年最新版】日本の 水族館の歴史

日本の 水族館の歴史

意外と知られていないが、実は日本は世界一水族館数の多い『水族館大国』である

日本は世界第六位の海洋面積を誇るため、海が身近なのだろう。

今回は日本の 水族館の歴史 について1882年の日本初の水族館誕生から現在(2022)までの変遷を解説したい。

また、一番下に年表も掲載しているから、まとめて歴史をチェックしたい方はそちらを参考にして頂きたい。

 明治時代:日本最初の水族館は上野動物園内に誕生。

実は日本最初の水族館は動物園の中に誕生した。

1882年9月20日、上野動物園の一角に開設された観魚室(うをのぞき)。これが日本で初の水族館とされる。

観魚室は写真のようにトンネル状の構造となっており、コイやフナ、イシガメやオオサンショウウオといった日本産の淡水生物を展示していた。

当時、西欧化を推し進めていた明治政府にとって、西欧の博物館文化を日本に取り入れるべく、動物園や水族館の展示にも力を入れていたのは間違いない。

続いて1897年、各水槽に循環濾過装置を配備した和楽園水族館が神戸市で開催された第2回水産博覧会の目玉として誕生。

こちらを日本初の水族館とみなす見方もある。水槽は30個ほどあったという。

個人的には水族館とは、水族生物を中心に展示をする施設であると考えるから後者の和楽園水族館が日本初の水族館であると捉えている。

ちなみにこの水族館は移転を繰り返し、現在は五代目の須磨海浜水族園として生まれ変わっている。

大正時代:私設水族館が続々誕生。

1899年に日本初の私設水族館である浅草公園水族館がオープンしたのを皮切りに、堺水族館、箱崎水族館、魚津水族館などがオープン。

特に1913年に誕生した冨山県の魚津水族館は現在まで続いており、日本で最も歴史の長い水族館となっている。

開業当時は水槽9か所、魚介類など100種類を展示と、開業当時は日本海側最大で日本屈指の知名度を誇る水族館であった。

一方で、大正時代に誕生したこれらの水族館の多くは1938年以降、日本が戦争に突入するにあたり、閉館を余儀なくされる。

 戦後:江の島水族館で日本初のイルカショーが開催。

戦後、GHQの統治下におかれた日本だが、1950年代以降復興が進むと高度経済成長期が訪れる。

「もはや戦後ではない」という言葉に代表されるように1955年には既に戦前の水準を超えるレベルまで日本のGNPは回復。

各地の水族館でも同じく復興を経て戦前のような賑わいを取り戻していた。

そして、1957年、現在の新江ノ島水族館の前身である「江ノ島マリンランド」で日本初のイルカショーが実施された。

このショーはアメリカの水族館での演出を参考に行われ、バンドウイルカやハナゴンドウといったお馴染みの鯨類が活躍していた。

今でこそ水族館=イルカショーというような文化が根付いているが、当時は斬新な取り組みであったという。

一方、現在イルカショーは鯨類保護の観点から世界では廃止の動きが高まっており、日本のイルカショーもしながわ水族館が終了を発表するなど転換期を迎えている。

 高度経済成長期:世界最大の水槽が日本に誕生。

高度経済成長期を経て1968年に日本のGDPは遂に世界第二位に。

この頃は世界最大の経済大国・アメリカを抜かさんばかりの勢いであった。

1975年には沖縄美ら海水族館が誕生。当館の黒潮大水槽は当時世界一の大水槽であった。

水族館でも JAPAN AS No.1 を実現したのだ。

そして、1978年、現在の都市型水族館の原型となるサンシャイン国際水族館が高層ビルの屋上に誕生した。

これは世界初の高層ビルの屋上に設置された水族館であった。

クリオネやオオカミウオなどの世界的にも珍しい生物の展示で人気を博し、1980年代にはラッコ・ブームを巻き起こした。

現在では全国で、3頭しかいないラッコも当時は120頭以上全国で飼育されていたという。

また、高度経済成長期には鉄道会社が沿線に住人を誘致するため、水族館等のレジャー施設を建設していた。

油壷マリンパークや、志摩マリンランドなどが鉄道会社の運営する代表的な水族館であったが、どちらも2020年代に住人誘致という役目を終えたことからもあり、閉鎖されている。

 バブル時代:水族館の建設ラッシュ。

1990年代、日本がバブル景気を迎えると、神戸の須磨海浜水族園や、大阪の海遊館、横浜の八景島シーパラダイスなど、100億円以上の資金を投じた大規模な水族館が続々と誕生した。

これらの水族館は、現在でも日本を代表する水族館として君臨しており、バブル崩壊以降、日本は「失われた20年」という経済成長停滞期に突入し、人口も減少に転じ新規で大規模水族館が誕生することはなくなっている。

また、これらバブル期に建てられた水族館が2020年問題という事象を生じさせており、特に地方自治体が運営する公営の水族館において水族館の建て替え=リニューアルの時期がまとめて押し寄せてきているのだ。
※一般に水族館は30年に一度大規模な改修が必要と言われている。

 2010年代:水族館が内陸に拡大。

2010年代に突入すると、京都水族館日本初の完全な人工海水利用型水族館が誕生。内陸にも海水を利用した大型水族館が建設される可能性が広がった。

同館を運営するオリックスグループは他にも同じく100%人工海水を使用した内陸型水族館のすみだ水族館も手掛けている。

 2020年代:2020年問題。そして、時代は都市型水族館へ。

バブル期に建設ラッシュで建てられた水族館の多くが、2020年代に老朽化によるリニューアルを余儀なくされている。

大型水族館の大規模改修はコロナで客足も遠のく中、運営する自治体や企業の財政を大きく圧迫している。

このような流れを受けて、大水槽を設けず、大都市の商業施設の中などに建設された小規模だが、来館者が多く見込める収益性の高い水族館が数多く誕生している。

これらの水族館はテナントの一角として存在し場所を間借りしているため、いざ収益性が見込めなくなって閉館するとしても撤退コストも低く抑えられる。

代表的な水族館として2020年、日本で初めて既存の商業施設に入った水族館としてカワスイ(川崎水族館)が誕生した。川崎ルフロンの10Fに位置するため、総水量は250tに制限されている。

そのため、淡水魚だけに絞った展示やプロジェクションマッピングや反応する大型の映像モニターなどを駆使してエンターテイメント性を高める工夫をしている。

他にも神戸のアトアスマートアクアリウム静岡などの都市型水族館が誕生している。

今後もこの流れは持続しそうだ。

水族館の未来の形

水族館のオープンやリニューアルをテーマに水族館が未来に向かって進化する方向性を考える。 水族館オタクの偏見と独断による未来予想図。 Follow me!

 日本水族館年表

出来事備考
1882観魚室が誕生日本初の水族館
1899浅草公園水族館がオープン日本初の私設水族館
1903堺水族館がオープン
1910箱崎水族館がオープン九州最古の水族館
1913魚津水族館がオープン
1922京都白浜水族館がオープン
1927松島水族館がオープン2015年閉館
1930中之島水族館(現伊豆・三津シーパラダイス)がオープン日本で初めてハンドウイルカを展示飼育
1934中之島水族館が世界で初めてジンベイザメの飼育に成功伊豆の海に縄を張った生け簀で約4ヶ月間飼育
1935阪神水族館がオープン世界で初めてゴンドウクジラを展示飼育
1953北海道立水族館(現市立室蘭水族館)がオープン北海道最古の水族館
1955鳥羽水族館がオープン
1956繁殖賞(日本動物園水族館協会が)が開始
1957須磨水族館がオープン日本初の冷却装置付水槽を導入
1957福岡水族館がオープン1968年閉館
1957江の島水族館がオープン日本初のイルカショーを実施
1964大分生態水族館マリーンパレスがオープン
1966二見シーパラダイスがオープン
1967下田海中水族館がオープン
1968京急油壺マリンパークがオープン2021年閉館
1970大洗水族館がオープン
1970鴨川シーワールドがオープンシャチを日本で初めて飼育
1971串本海中公園水族館がオープン
1978サンシャイン国際水族館がオープン
19813代目魚津水族館が誕生=世界初のアクリル水槽に世界初のトンネル水槽を導入
1982伊豆・三津シーパラダイスで日本初のラッコ飼育
1988江の島水族館に世界初のクラゲ展示館「クラゲファンタジーホール」が開設
1989葛西臨海水族園がオープン
1989海の中道海洋生態科学館(現マリンワールド海の中道)がオープン
1990海遊館がオープン
1992名古屋港水族館がオープン
1993横浜・八景島シーパラダイスがオープン
1993蓼科アミューズメント水族館がオープン標高1750m、世界最高所の淡水魚水族館
1994城崎マリンワールドがオープン
1997いおワールドかごしまがオープン
1998鴨川シーワールドで日本で初めてシャチの繁殖に成功ラビ―が誕生
2000アクアマリンふくしまがオープン
2002沖縄美ら海水族館がオープン
2004エプソン 品川アクアスタジアムがオープン
2004アクアトトぎふがオープン
2004男鹿水族館GAOがオープン
2011沼津港深海水族館がオープン深海生物をテーマにした世界初の水族館がオープン
2012京都水族館がオープン日本初の完全な人工海水利用型水族館
2012すみだ水族館がオープン
2017広島市内にマリホ水族館がオープン
2018むろと廃校水族館がオープン
2020DMMかりゆし水族館がオープン
2020カワスイ(川崎水族館)がオープン日本で初めて既存の商業施設に入った水族館が誕生
2020四国水族館がオープン
2021神戸に都市型水族館átoa(アトア)がオープン
2022スマートアクアリウム静岡がオープン

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