チームカラーはいつから緑に?~進化するスワローズのマーケティング~

12球団マーケティング分析シリーズ第四弾は ヤクルトスワローズ 。私情を挟んで恐縮だが、私は15年来のヤクルトファンである。贔屓目で書かないよう気を付けたい。

ヤクルトスワローズはフランチャイズの東京に球界の盟主・巨人が君臨していることから地域密着型の集客戦略を取るのが難しく、更に本拠地である神宮球場を所有していないことから、過度な改修を行うことが出来ない。

このような制約の元、スワローズがどのようなマーケティング戦略を展開しているのか解説する。

 コンセプトは神宮呑み

 ターゲットはサラリーマン

これまで見てきた、DeNA楽天日本ハムのように地域密着型のボールパークを作るという手法をスワローズが真似ることは難しい。

一つ目は神宮球場がプロ野球と大学野球で併用されており、ヤクルトスワローズだけのものではないこと。

二つ目は東京にはスワローズの他に巨人という球界の盟主が存在するため、スワローズにアイデンティティを持たせるのが難しいということだ。

このような弊害を克服するために、スワローズが打ち出したのが、青山という都会のど真ん中にある立地を活かした戦略だ。

スワローズは生ビール半額ナイターを実施することで、他球団に比べて大きく売り上げを伸ばした

ビジネス街のど真ん中に位置するからこそ、仕事帰りのサラリーマンをターゲットにすることで観客動員数を増やすことが出来たのだ。

 チームカラーを緑に

また、2014年から燕パワーユニホーム(ファンクラブ会員に配られるユニフォーム)の色を緑色に変更。

ここからヤクルトスワローズ=緑という色のイメージが付き始めた。

プロ野球球団で緑色をイメージカラーとする球団は他になかったから差別化という観点で非常に良い選択であった。

個人的にはこれを境にスワローズというチームが東京にある巨人でない方のチームという印象から、独自色のあるチームに生まれ変わったと感じている。

また、これまではトリコロールカラーで白なのか、赤なのか、青なのかわからないようなチームカラーだったのが、緑一色になることでスタジアムの応援席に統一感が出て、スタジアム全体が映えるようになった。

 球場外売り上げを強化する

 12球団一知名度の高いマスコット=つば九郎

スワローズのマスコットつば九郎は12球団一知名度の高いマスコットと言っても過言ではないだろう。「つばさんぽ」という名称で、観光地や商店街など都内各所に「つば九郎」がおもむいては、住民やファンと交流するという企画を2010年から実施している。また、毎年年末に契約更改で選手以上にスポーツニュースを沸かせるなど、話題性も抜群だ。

 女性、ネット民、サラリーマンの心をつかむ

つば九郎はその可愛さから女性ファンの心をつかんでいるのはもちろんだが、ネット上で畜ペンと称されるように時事ネタや自軍や相手の選手やマスコットをいじることでネット民の心をつかんでいる点も見逃せないだろう。

また、つば九郎×ビール、競馬といった少しおじさんぽいイメージも持たせることでサラリーマンにも親近感をもたせている。

女性にネット民にサラリーマン、他方面から好かれるようなキャラクター=ブランドを形成できているのがつば九郎の最大の凄さだろう。

 グッズ収益を増やし、球場外で稼ぐ

また、グッズ売り上げも急増。スワローズがグッズ売り上げを大きく伸ばすことができた要因として、従来のターゲットだった男性の他、女性をターゲットにした商品を開発したことが挙げられる。特につば九郎グッズなどが女性受けが良いという。

また、選手が節目の記録を達成したり、サヨナラ勝ちをした直後に記念グッズを発売するなど製品バリエーションも非常に豊富だ。

加えてオフィシャルショップを増設することで来場したファンが振れやすい設計にしている。

このようなスワローズのグッズ収益強化策からは、球場外収益を増やしたいという意図が感じられる。

スワローズの試合時の飲食や看板広告の収入は大部分が神宮球場の所有者である明治神宮に流れる仕組みとなっている。従って、球場内での売り上げはどうしても他球団と比べて劣ってしまう。

そのため、球場外のグッズショップや、通販サイトを強化することで収益を生み出す必要がある。

 ファンの声を大切にするファンクラブ運営

スワローズはNPS調査を用いて、ファンの声を拾い上げている。

2014年度から2016年度にかけて、ファンクラブの会員数は2.5倍に増加。具体的には、神宮球場でしか行えなかったポイントとグッズの交換を地方へも発送できるようにしたり、記念品を選択制で入手できるよう、プラチナ会員を増設したりしている。(参考資料)

また、ファンクラブの中のシステムとしてその試合で一番活躍した選手を予想して正解すると多くポイントが付与されるシステムが存在するなど、コンテンツも盛りだくさんだ。

 最新技術の導入

 QRチケットの導入

スワローズは2017年から三井物産とチケット販売サイトと連携して試合の一部座席に変動価格制=ダイナミックプライシングを導入している。

AIに過去3年間の販売実績やチームの現在の順位、ファンクラブの規模、試合日、季節など各種データーを入れることで、球団の収入を最大化させる価格を試合ごとに算出することが可能だ。

また、QRチケットというシステムも導入しており、WEBでチケットを購入するとメールアドレスにQRコードが送られてきて、それを神宮球場で専用の機械にかざすとチケットが発見できるということだ。複数人で試合観戦する際に、購入者がQRコードを共有すれば手渡しせずに個別に入場することが可能になる。

 球場外収益向上施策、ファンサービスの更なる進化に期待

様々な制約の中、集客を行わなければいけないスワローズであるが、その分球場外の収益向上施策やファンサービスには目を見張るものがあった。今後の工夫にも期待大だ。

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