進むボールパーク化構想。楽天生命パークの進化。

12球団マーケティング分析シリーズ第二弾は東北楽天ゴールデンイーグルス。今や楽天生命パーク宮城の観覧車は名物となり、MLBのようなボールパークが日本でも実現しつつある。

昨今各球団でボールパーク実現への動きがみられるが、日本のボールパーク化のパイオニアともいえる 楽天イーグルス のマーケティングについて解説していきたい。

 地域密着型のボールパークの実現へ

そもそもボールパーク化構想とは何だろうか?

ボールパーク化構想とは野球場を単に野球を観戦するだけの場所ではなく、周辺施設も含めて一日楽しめるようなレジャー施設として楽しめるような場所にリニューアルしようという試みのことである。

特に楽天の三木谷会長はチームの勝敗が経営状態に影響してはならないと口にしており、試合の出来に関わらず球場をおとすれることが楽しいと思えるような場所づくりに力を入れていることが伝わってくる。

2016年、楽天はボールパーク化へ向けて、大規模なスタジアム改修を行った。

フィールドは全面天然芝に張り替えられ、スコアボードは全てLED化

そして観覧車も設置された。後にメリーゴーランドも新設され、観覧車とメリーゴーランドの2つが試合観戦可能エリアに設置されている球場は日米初となっている。

この観覧車をはじめ、メリーゴーラウンドや広い芝生エリア、さらには数々のフォトスポットもあり、子どもからお年寄りまで遊ぶことができるのが、「スマイルグリコパーク」だ。当日の観戦チケットがあれば入園料は無料(一軍公式戦のない日は大人500円、子ども300円で1日遊び放題)で、試合前に子供を遊ばせることもできる。

このようにスタジアムの外観を改修することで、顧客は非日常感を覚えることができる。

また、フィールドシートが約1.4m前面に拡張し増席。「エキサイティング・フィールドシート」、ボックスシートを新設し、砂被り席を日本で初めて導入した。

多様な観戦スタイルを用意することでスタジアムでの楽しみ方にバリュエーションを持たせようという意図が感じられる。

 完全キャッシュレス化への切り替え

ボールパークの進化は設備に留まらない。

楽天生命パーク宮城は2019年から完全キャッシュレス化。

スタジアム内では、現金を使った買い物ができない代わりに、電子マネー「楽天Edy」やスマートフォン(スマホ)決済サービス「楽天ペイ」、各種クレジットカード・デビットカードなどのキャッシュレス決済が利用しやすい環境に生まれ変わった。当時の球場は全体決済の15%が非現金決済だったというから大規模な改革だ。

キャッシュレス化により、来場者に「楽天Edy」や「楽天ペイ」などの楽天決済サービスを利用してもらうことにより、楽天経済圏へ取り込もうという狙いが感じられる。

また、決済スピードが速まるとともに球場内での購入回数が増える効果も期待でき、実際に球場売り上げも飲食、グッズ共に対前年比15%前後のプラスを記録したという。

完全キャッシュレス化以外にもプロ野球でいち早くチケットのダイナミックプライシングを導入した。2009年から試合の人気に応じて5段階の価格テーブルを指定した。

 高額な価格設定のファンクラブ=TEAM EAGLES

 TEAM EAGLESの手厚いサービス

また、楽天はボールパークへ多くの観客を集客すべくファンクラブの運営にも力を入れている。

楽天のファンクラブは”TEAM EAGLES”という名前だ。

会員種別は以下のとおり

  • L-ライト会員:2000円(税込)
  • 3-STAR:10500円(税込)
  • 4-STAR:30000円(税込)
  • 5-STAR:100500円(税込)

特に最上位クラスの5-STARの特典内容は

チケット特典(8枚分のチケット引き換え券プレゼント)、選手の直筆サイン入りグッズ、チームジャンパー、ユニフォーム、リュック、タオル、応援バット

など非常に手厚い内容となっている。

  サブスクリプションサービスの導入

わしほーだいは、オリジナルコンテンツをサブスクリプションとして楽しめるサービスだ。

各プランでできることは、以下のようになっている。

楽天イーグルス わしほーだい

特に選手情報などのマニアデータやファームの試合ライブなど、興味深いコンテンツが豊富だ。

球場内売り上げだけでなく、スクリプションモデルを強固にすることで、コロナ禍でも安定した売り上げを上げることが出来る。

まとめ

ボールパーク化へ向けて日本初のチャレンジを重ねてきた楽天生命パーク宮城および球団運営に今後も注目したい。

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