【油壷マリンパーク】『東洋一の夢』孤独の水族館 #6
水族館ブログ 孤独の水族館#6
「油壺マリンパークが閉館。」
ネットで水族館情報を調べていると、思いもよらぬニュースが飛び込んできた。
油壺マリンパークは神奈川県の三浦半島に位置する歴史ある水族館だ。(注意:2021年9月30日に閉館。)
閉館の理由としては、①神奈川県に新江ノ島水族館や八景島シーパラダイス等の大型水族館が設置され、来館者数が減少傾向にあったこと。②施設が老朽化して改修に莫大な費用がかかることだという。
関東住みとはいえ、中々足を伸ばしにくいエリアに位置するため、訪問できていなかった。とはいえ、閉館するとなれば最後に一目その姿を見ておきたい。
週末、京急線の切符と水族館のチケットとご当地マグロ料理がセットでお得なみさきまぐろきっぷを購入し、現地へ向かった。
三崎口駅からバスに揺られること15分。道路が混雑していたため途中下車して徒歩で水族館へ向かう。
辺りはヤシの木なんかが植樹されていて南国気分。異国情緒を感じられて気持ちいいなぁ。
穏やかに感じられた油壺だが、名前の由来は一説によると鎌倉時代に三崎城が落城したとき、打たれた三崎氏の死体から流れ出る血が漂い、まるで油を水に落としたように漂っていたことだという。とんでもない名前の由来だなぁ。
そんなこんなでお目当ての油壺マリンパークに到着。閉館間際だからかめちゃくちゃ混んでる。混んでる水族館は展示をじっくり見ることができないから、苦手だ。
館内に入る。水族館の建物以外の敷地が思ってたより広いなぁ。まるで遊園地みたい。南国の植物がたくさん植えられていて、天気も快晴。閉館間際に最高のお出かけ日和をプレゼントしてくれた神様に感謝したい。
水族館の中には複数の建物があるようだ。敷地面積の広さとこの昔ながらの遊園地のような雰囲気。須磨海浜水族園に似ている。
入口を入って本館を進む。相模湾の生き物を中心に展示しているゾーンだ。江の島水族館も同様に相模湾をテーマにしているが似たような生物の展示がやはりおおいなぁ。
おや、深海ザメの標本だ。これは、ミツクリザメかな。こういったサメの剥製の展示は江の島水族館で見ることができないから非常に興味深い。この前に飛び出している部位はなんだろうか。説明を読むと、吻が前方に飛び出したものと書いてある。餌を探すためのロレンチニ器官を多数備えているという。深海生物ならではの体の造りだな。
海洋生物が環境に適応し体の造りを変えてきたように人間も現代の環境に応じて、遠い将来少しずつ体を変化させていくのかなぁ。昨今の脱毛ブームを見ていると、体毛が濃い人間というのは淘汰されていってしまうのではないかと些細なことが頭によぎる。
これはラブカかな。陽キャな男子大学生のような写真の映り方だ。獲物に遭遇する確率が低い深海で、確実に獲物を捕らえられるようこんな大きな顎をしているのだろう。同じ深海のサメでもミツクリザメとラブカでこんなに見た目が違うだからやっぱり魚は面白い。
相模湾展示を抜けると、大きなメガマウスの模型が現れた。ほれぼれするほどのたらこ唇だ。この口で獲物を丸のみするのかなと思うが、実は主要な餌は小さなプランクトンだという。体が大きくなればなるほど、大海のどこでも簡単に捕獲できるものを餌にするわけだ。私が生きている間に生きたメガマウスが水族館で見れる日は来るだろうか。
メガマウスの模型の周りを囲う螺旋階段を登っていくと、360℃パノラマの巨大水槽が現れた。すごい。まるで海の真ん中にいるようだ。
お、ノコギリエイだ。こんなに大きなサイズを見るのは初めてだなぁ。油壺が閉館したらこいつらはどこに行くのだろう。
パノラマ水槽を降りて、先へ進むと当館の歴史を記した展示が現れた。設立当初は東洋一の水族館を目指して作られたそうだ。「東洋一」なんともロマンある響きではないだろうか。科学がおりなす夢の魚の王国。当時の興奮がこの文章からひしひしと伝わってくる。
おや、先に人だかりが出来ている。魚のショーが始まるようだ。イシダイ?の主人公が学校に行きそこで給食を食べたり、授業を受けたりするストーリーだが、非常にレトロな展示だ。なんだか、懐かしい気分になるとともにどんどんこの世から昭和の趣が淘汰されていくのを感じる。
一通り本館を巡って、屋外へ出る。快晴で海の青と芝生の緑が映える。富士山もきれいに観察できる。この相模湾の下にさっき展示で見たような生き物がいると思うとわくわくする。
本館以外にも海獣類やペンギンの展示がある。ペンギン島に足を運ぶ。キタイワトビペンギンという名前らしい。顔の飾りが非常に特徴的だ。
カワウソ展示の前に人だかりができている。さすがのスタープレイヤーっぷりだ。
広くて歩き疲れてきた。そろそろ出ようかな。最後に見納めができて大変満足だ。
バスに揺られて20分、みさきまぐろきっぷ対象の○つね(マルツネ)というお店に伺った。パンフレットを見て一番惹かれたのがきっかけだ。噂通り、清潔感のあるきれいなお店である。夕方のオープン一番乗りであった。マグロ丼を堪能する。最高の旅行の〆だ。こんなに美味しいマグロは初めてだ。また、マグロの白子も頂くことができた。マグロのいろいろな部位を楽しめるのは面白い。
お店の外に出る。今日は満月だ。歴史ある水族館の閉館に哀愁を感じながら、帰路に着いた。
ーENDー