東京よみうり水族館は2軍戦の客で回るのか。球場一体型の水族館を数字で読む

2軍戦の観客だけでは、東京よみうり水族館は回らない。

ジャイアンツタウンスタジアムの2025年のイースタン・リーグ主催試合は53試合で9万4,903人。都内の都市型水族館は年間60万〜200万人を集めているので、2軍戦の観客が全員水族館に寄っても1割台にとどまる。

ただし、この計画は「球場の客を水族館に流す」ものとして読むと数字が合わない。「試合のない約300日を、水族館で埋める」計画として読むと、発表された数字がきれいに噛み合う。この記事では、2027年夏に開業する東京よみうり水族館を、既存の都市型水族館の数字と並べて読み解く。

東京よみうり水族館はどんな施設か

2026年11月、東京ジャイアンツタウン(東京都稲城市)に建設中の水族館の名称が「東京よみうり水族館」に決まり、開業時期が2027年夏と発表された。

読売新聞東京本社・読売巨人軍・よみうりランドの3社による共同開発で、工事は約6割まで進んでいる。

項目内容
開業2027年夏(試験運用のあと開業日を決定)
所在地東京都稲城市(ジャイアンツタウンスタジアムのレフトスタンド後方)
形式人工海水を使う内陸型
規模地下1階・地上3階、屋外展示を含む施設面積 約9,874㎡
展示約350種・約4万点
大水槽高さ約7m・幅約13m・水量約1,300トン(海中トンネル付き)
主な展示アシカの楽園(約300㎡)、ウォーターガーデン(約30mの水草水槽)、シーラカンス標本の国内初公開、多摩川エリア
同時開業飲食施設「G-TOWN TABLE」(歩行者用ブリッジで直結)
入館料未発表

注目したいのは施設面積だ。計画段階では約8,600㎡と報じられていたが、今回の発表では約9,874㎡になっている。

同じ「屋外を含む施設面積」で比べて、約15%大きくなった計算になる。

都市型・内陸型の水族館と並べると、規模はどのくらいか

東京よみうり水族館と同じく、海から離れた場所で人工海水を使う水族館(すみだ水族館、京都水族館など)と並べてみる。

施設開業展示総水量年間来館者数立地
東京よみうり水族館2027年夏約350種・4万点未発表(大水槽のみ約1,300t)―駅から徒歩約15分
すみだ水族館2012年約260種・7,000点約3,100t約140万人駅直結の商業施設内
京都水族館2012年約250種・1万5,000点約3,000t―京都駅から徒歩約15分
マクセル アクアパーク品川2005年約450種・1万8,000点約4,800t約175万人品川駅から徒歩約2分
サンシャイン水族館1978年約580種・2万点―約200万人池袋のビル屋上
カワスイ 川崎水族館2020年約300種―約60万人川崎駅から徒歩1分

展示の種類数は、すみだ水族館や京都水族館より多く、アクアパーク品川に近い。

大水槽も大きい。京都水族館の大水槽は約500トンで、東京よみうり水族館の大水槽(約1,300トン)はその2.6倍ある。総水量はまだ発表されていないが、大水槽だけで1,300トンあることから、都市型水族館のなかでは大きい部類に入ると見てよい。

一方で、立地は他館とまったく違う。表の水族館の多くは駅直結か駅前の商業施設の中にあり、通りすがりの客を拾える。東京よみうり水族館は最寄り駅から徒歩15分ほどかかり、「わざわざ行く場所」になる。

2軍戦の観客は、水族館にとってどれくらいの数なのか

ジャイアンツタウンスタジアムは2025年3月に開業した、読売ジャイアンツの2軍の本拠地だ。席数は約2,900席。2025年のイースタン・リーグ主催試合の入場者は、53試合で9万4,903人だった。1試合あたり約1,790人で、席の6割ほどが埋まった計算になる。巨人の2軍戦としては過去最多の数字だ。

この9万5,000人が水族館にどれだけ流れるかを、割合ごとに並べてみる。

2軍戦の観客のうち水族館に寄る割合水族館の来館者カワスイ(約60万人)に対してすみだ(約140万人)に対して
30%約2.8万人約5%約2%
50%約4.7万人約8%約3%
100%約9.5万人約16%約7%

観客全員が水族館に寄るという、ありえない前提を置いても、カワスイの来館者の6分の1にしかならない。球場の客を水族館に流す、という見方では、この水族館の採算は説明できない。

逆に読む。水族館が球場を支えている

見方を逆にすると、計画の筋が通る。

2軍戦は年間60試合ほどで、試合のある日は1年の6分の1にすぎない。残りの約300日、2,900席の球場は人を呼ぶ理由を持たない。そこで、毎日開いていて天気にも左右されない水族館を球場とつなげれば、試合のない日にも人が来るエリアになる。

発表された仕組みも、この方向を向いている。

  • スタジアム2階のコンコースから水族館2階のエントランスに直結し、有料イベントのない日は自由に行き来できる
  • スタジアムの大型ビジョンで、水族館の生きものをライブで流す予定
  • 3階の多摩川エリアには、スタジアム全体を見渡せるカフェができる
  • 飲食施設「G-TOWN TABLE」と歩行者用ブリッジで直結し、3つの施設を道路を渡らずに回れる
  • よみうりランド遊園地にいたアシカが水族館に移る

まとめると、こういう役割分担になる。

施設役割人が来る日
ジャイアンツタウンスタジアム試合日に人が集中する場所年約60日+イベント日
東京よみうり水族館毎日人を呼ぶ場所ほぼ毎日
G-TOWN TABLE滞在時間と客単価を伸ばすほぼ毎日
よみうりランド遊園地長く集客してきた隣の施設季節で変動

水族館は「球場のおまけ」ではない。エリア全体を毎日動かす役目を担っていると見るのが自然だ。

来館者数を左右するのは何か

来館者数の予測は、条件が多くて精度が出ない。そこで、具体的な数字ではなく、どこが強くてどこが弱いかを整理する。考え方は「水族館の来館者数は予測できるのか」で使った3つの要素(立地・規模・話題性)に沿う。

立地は弱い。 駅前型の都市型水族館と違い、通りすがりの客は期待できない。車で来る家族連れと、隣のよみうりランドの客が中心になるはずだ。多摩・川崎北部・町田あたりの住宅地に近いことは、年パスでくり返し来る客を作るには有利に働く。

規模は強い。 約350種・約1,300トンの大水槽・海中トンネルは、首都圏の都市型水族館のなかで上位に入る。「わざわざ行く」理由になる大きさがある。

話題性も強い。 国内初の球場一体型の水族館で、シーラカンス標本の国内初公開もある。開業した年は、大きく人が集まる可能性が高い。問題は2年目以降で、話題性が落ちてから何で人を呼ぶかが問われる。

入館料はいくらになるか

入館料はまだ発表されていない。参考として、都内の都市型水族館の大人料金は2,600〜2,800円ほどだ(サンシャイン水族館は変動価格制)。入館料が上がっている背景は「水族館の入場料はなぜ上がり続けるのか」で詳しく書いた。

内陸型の水族館は、人工海水を作る設備と水を温めたり冷やしたりする電気代がかかる。開業時期の電気代を考えると、都内の相場より安くなるとは考えにくい。料金が発表されたら追記する。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です