ジンベエザメに会える水族館は世界に何館あるのか。日本4館と海外の飼育・放流 記録一覧

ジンベイザメの生態と生息地

世界最大の魚、ジンベエザメを水族館で見られる場所は、世界中を探しても10館に届かない。そのうち4館が日本にある。2026年11月時点で、日本は海遊館・沖縄美ら海水族館・いおワールドかごしま水族館・のとじま水族館の4館5頭。海外で継続して公開していると確認できるのは、アメリカのジョージア水族館と中国の長隆(チャイムロン)グループの施設くらいだ。

この記事では、国内で現在ジンベエザメを飼育している館と過去に飼育した館、さらに海外で飼育・放流された記録を一覧にまとめた。「どこで見られるか」だけでなく、「なぜこんなに少ないのか」まで数字で読み解く。

日本でジンベエザメに会える水族館は4館5頭

水族館所在地頭数展示水槽備考
海遊館大阪府大阪市2頭太平洋水槽(約5,400t)国内で唯一の複数頭展示
沖縄美ら海水族館沖縄県本部町1頭黒潮の海(約7,500t)「ジンタ」は1995年から飼育、世界最長記録
いおワールドかごしま水族館鹿児島県鹿児島市1頭黒潮大水槽(約1,500t)一定の大きさで海へ帰す「放流前提」の飼育
のとじま水族館石川県七尾市1頭ジンベエザメ館 青の世界2026年9月18日に8カ月ぶりに展示再開

日本でジンベエザメに会える水族館

いちばん大きな変化はのとじま水族館だ。2024年の能登半島地震の影響で飼育していた2頭が死に、その後に加わった1頭も2026年1月に死んだ。日本海側で唯一のジンベエザメはいったん不在になったが、8月に石川県志賀町沖の定置網にかかった体長約4.5mのオスを迎え、9月18日に展示を再開した。

沖縄美ら海水族館の「ジンタ」は2025年3月に飼育30年を迎え、ジンベエザメの飼育期間として世界最長の記録を今も更新している。月1回の採血などで蓄積したデータは、野生のジンベエザメ研究にも使われている。

日本で過去にジンベエザメを飼育した水族館は12館

現在の4館を含め、国内でジンベエザメの飼育経験がある水族館は12館ある。

初飼育の順水族館所在地現在
1中之島水族館静岡県閉館
2沖縄記念公園水族館沖縄県美ら海水族館の前身
3海遊館大阪府飼育中
4大分生態水族館マリーンパレス大分県終了(現・うみたまご)
5いおワールドかごしま水族館鹿児島県飼育中
6沖縄美ら海水族館沖縄県飼育中
7マリンワールド海の中道福岡県終了
8のとじま水族館石川県飼育中
9横浜・八景島シーパラダイス神奈川県終了
10あわしまマリンパーク静岡県終了
11おたる水族館北海道終了(短期)
12下田海中水族館静岡県終了(湾内いけす)

出典:水族館経営学の入口「ジンベエザメの終生飼育・放流問題についての論点整理」の整理をもとに作成。初飼育の年は館ごとに要確認。

12館のうち8館が飼育をやめている。ジンベエザメは定置網に偶然かかった若い個体を譲り受けて飼育を始めることが多く、成長して水槽が手狭になれば海へ帰す。いおワールドかごしま水族館は、この「育てて帰す」を前提に何代も入れ替えてきた館だ。

海外でジンベエザメを飼育・展示した水族館

海外に目を向けると、飼育の歴史はむしろ「放流」と「批判」の記録になる。

施設国・地域期間結末
ジョージア水族館アメリカ(アトランタ)2005年〜飼育中。2025年8月に1頭が死に、残りは2頭と報じられる
長隆海洋王国(チャイムロン・オーシャン・キングダム)中国(珠海)2014年〜飼育中とされる。頭数は非公表
長隆の新館(チャイムロン・スペースシップ)中国(珠海)2020年代〜ジンベエザメ展示をうたう。詳細は非公表
煙台海昌鯨鯊館中国(煙台)2013年頃〜5頭を狭い水槽で展示し批判を浴びた。現状不明
国立海洋生物博物館台湾(屏東)2005〜2013年1頭を8年飼育したのち放流
アトランティス・ザ・パームUAE(ドバイ)2008〜2010年「サミー」を18カ月飼育。抗議を受けて放流
アクアプラネット済州韓国2012年2頭のうち1頭が開館直後に死亡、残る1頭を放流

アメリカ大陸、ヨーロッパ、オセアニアでジンベエザメを飼育しているのはジョージア水族館だけだ。「アジア以外で唯一ジンベエザメがいる水族館」という肩書きは、2005年の開館から20年たった今も変わっていない。

中国では2024年10月、深圳の水族館「小梅沙海洋世界」が目玉として公開したジンベエザメが機械仕掛けのロボットだったことが判明し、来館者の怒りを買った。運営側は「ジンベエザメの取引を禁じる法律を守るため」と説明している。生体を入手できないから機械で代用する。この出来事は、ジンベエザメが水族館にとってどれほど手に入りにくい生き物になったかをよく示している。

なぜジンベエザメを飼える水族館はこんなに少ないのか

理由は3つに整理できる。

1. 水槽の大きさが桁違いに必要

成長すると体長10mを超える。国内の飼育館の主水槽は、いおワールドの約1,500tから美ら海の約7,500tまで幅があるが、どの館も一般的な大水槽よりはるかに大きい。海外のジョージア水族館で約2,400万リットル(約2万4,000t)、長隆海洋王国の鯨鯊館は約2,270万リットル(約2万2,700t)と、ギネス記録級の水槽をこのためだけに建てている。

2. 入手経路が「偶然」しかない

ジンベエザメはワシントン条約の附属書IIに掲載された保護対象だ。日本の飼育館は定置網に迷い込んだ個体を譲り受けており、狙って捕まえているわけではない。台湾は2008年にジンベエザメ漁を全面禁止し、それ以前に入手したジョージア水族館の個体が、事実上最後の「輸出された」ジンベエザメになった。

3. 長く飼うこと自体が難しい

韓国の済州では開館から約1カ月で1頭が死に、ジョージア水族館も開館初期に2頭を失った。30年以上飼い続けている美ら海のジンタは、例外中の例外といえる。

結論:日本は「ジンベエザメ大国」である

世界でジンベエザメを常設展示している水族館は、確認できる範囲で10館に満たない。そのうち4館が日本にあり、しかも北陸・関西・九州・沖縄と地域が分かれている。ジンベエザメを見るために海外へ行く必要はなく、むしろ海外から見に来る価値がある。日本はそういう国だ。

一方で、のとじま水族館が8カ月間ジンベエザメ不在だったように、4館という数は固定されたものではない。見られるうちに見ておきたい生き物だ。



※2026年11月時点の情報。頭数は各館の発表・報道をもとにしており、搬入・放流・死亡により変わることがある。

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