イルカショーを終了・廃止した水族館一覧。7館の年表で見えた「やめた本当の理由」
2002年以降、イルカショーを終えた、あるいは終えることを決めた水族館は、確認できた範囲で7館ある。
並べてみると、はっきりした傾向がある。倫理だけを理由にショーをやめた館は1つもない。きっかけはどれも、閉館、建て替え、経営判断、そして飼育上の事情だった。
もう1つ、2026年に変わった事実がある。しながわ水族館のイルカショーは「2027年度で終わる」と広く報じられてきたが、品川区が2026年4月に出した最新の計画では、リニューアル開業の目標は令和15年度(2033年度)に延び、閉館の時期もまだ決まっていない。当ブログの過去記事でも2027年度と書いていたが、いまはそれが正しくない。
この記事では、7館を年表に並べ、それぞれの「終わり方」と、イルカたちがどこへ行ったのかを整理する。
Table of Contents
【年表】イルカショーを終了・廃止した水族館
ショーが終わった時期の順に並べた。しながわ水族館だけは終了が決まっているものの、時期が未定のため最後に置いている。
| ショーが終わった時期 | 施設名 | 所在地 | 何が起きたか | ショーのその後 | 終わり方 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2002年9月 | 江の島水族館マリンランド | 神奈川県藤沢市 | 老朽化で閉館(2002年9月16日) | 2004年4月に新江ノ島水族館で再開 | 建て替えで引き継ぎ |
| 2017年12月 | 犬吠埼マリンパーク | 千葉県銚子市 | 最後の1頭が体調不良でショー中止。2018年1月31日に閉館 | 消滅。残されたイルカは2020年3月に死亡 | 閉館で消滅 |
| 2020年3月 | みさき公園 | 大阪府岬町 | 運営の南海電鉄が撤退し閉園(3月31日が最終公演) | 消滅。イルカ5頭はアドベンチャーワールドへ | 閉館で消滅 |
| 2021年2月 | 神戸市立須磨海浜水族園 | 兵庫県神戸市 | 建て替えに向け本館以外を閉鎖(2月28日が最後のイルカライブ) | 2024年6月に神戸須磨シーワールドで再開 | 建て替えで引き継ぎ |
| 2021年9月 | 京急油壺マリンパーク | 神奈川県三浦市 | 老朽化で閉館(9月30日) | 消滅。跡地は宿泊施設の計画 | 閉館で消滅 |
| 2022年8月 | 京都水族館 | 京都府京都市 | 子育て環境の整備のためパフォーマンスを休止 | 2024年7月から解説型の「イルカのがっこう」 | 形を変えて継続 |
| 未定 | しながわ水族館 | 東京都品川区 | 2022年にリニューアルでのイルカ展示・ショー終了を決定 | 現在も実施中。開業目標は令和15年度、閉館時期は未定 | 方針として廃止 |
7館の終わり方は、次の4つに分かれる。
| 終わり方 | 館数 | 該当する館 | 共通点 |
|---|---|---|---|
| 閉館で消滅 | 3 | 犬吠埼マリンパーク、みさき公園、京急油壺マリンパーク | 民間が運営する郊外施設。来館者減と老朽化が重なった |
| 建て替えで引き継ぎ | 2 | 江の島水族館マリンランド、須磨海浜水族園 | 行政が関わる再整備(PFI・Park-PFI) |
| 方針として廃止 | 1 | しながわ水族館 | 公立の中規模館。建て替えを機にショーを手放す |
| 形を変えて継続 | 1 | 京都水族館 | ショーを休止し解説型プログラムへ |
最も多いのは「閉館で消滅」の3館だ。ショーだけをやめた館より、施設ごとなくなった館のほうが多い。
閉館で消えた3館は、どれも民間の郊外施設だった
犬吠埼マリンパーク:最後の1頭が残された
千葉県銚子市の犬吠埼マリンパークでは、最後に残ったバンドウイルカ「ハニー」の体調不良で、2017年12月にショーが止まった。翌2018年1月29日に閉館が発表され、わずか2日後の31日に営業を終えている。
問題はその後だ。ハニーはペンギンなどとともに閉館後の施設に残され、行き先が決まらないまま2020年3月29日に死んだ。閉館が「ショーの終わり」で済まなかった、最も厳しい例である。
みさき公園:イルカ5頭は白浜へ
大阪府岬町のみさき公園は、南海電鉄が1957年に開いた動物園・遊園地だった。2019年3月に南海が撤退を発表し、後継の運営会社も見つからず、2020年3月31日に閉園した。最後のイルカショーは閉園当日である。
当時ショーに出ていたカマイルカ2頭とバンドウイルカ3頭は、和歌山県白浜町のアドベンチャーワールドに移った。入園者はピークの1966年度の約96万人から、2018年度には約34万人まで減っていた。
京急油壺マリンパーク:老朽化で53年の歴史に幕
神奈川県三浦市の京急油壺マリンパークは1968年に開業し、1981年からは屋内のショープールでイルカとアシカのショーを行ってきた。建物と設備の老朽化を理由に、2021年9月30日に閉館している。2019年度の来館者は約26万人だった。
約400種4,000点の生き物は他の施設に引き取られた。跡地は宿泊施設として再開発される計画で、水族館は戻ってこない。
![[写真:閉館前の京急油壺マリンパークのショー]](https://taseaqua.com/wp-content/uploads/2026/10/image-2-1024x526.png)
[写真:閉館前の京急油壺マリンパークのショー]
3館に共通するのは、民間企業が運営する郊外の施設だったことだ。来館者がピークから大きく減ったところで老朽化が重なり、建て替えではなく撤退が選ばれた。閉館した水族館の跡地を追った記事でも、同じ構図が見えている。
関連記事:閉館した水族館の跡地は今どうなった?油壺・東京タワー・松島など8館の行方
建て替えで続いた2館は、行政が関わる再整備だった
江の島水族館マリンランド → 新江ノ島水族館
1957年に開館した江の島水族館マリンランドは、日本で初めてイルカを飼育するために造られた施設で、日本最初のイルカショーを始めた館として知られる。老朽化で2002年9月16日に閉館し、2004年4月、PFI方式で建て替えられた新江ノ島水族館としてショーが再開した。
須磨海浜水族園 → 神戸須磨シーワールド
神戸市立須磨海浜水族園は、建て替えに向けて本館以外を閉じた2021年2月28日が最後のイルカライブだった。2023年5月31日に閉園し、2024年6月1日、Park-PFIで整備された神戸須磨シーワールドが開業してショーが戻った。
ただし、引き継ぎには代償があった。ショーのない期間は約3年3カ月続き、大人料金は1,300円から3,100円に上がっている。

関連記事:1,300円だったスマスイ。神戸須磨シーワールドになる前の須磨海浜水族園を写真で振り返る
閉館で消えた3館との違いは、持ち主にある。土地や事業に行政が関わっていれば、水族館を残す前提で建て替えが進む。民間の郊外施設では、その前提がない。
しながわ水族館の「2027年度」は、もう正しくない
イルカショーの廃止を自ら決めた館は、7館のうちしながわ水族館だけだ。
品川区は2022年、2027年度のリニューアルに合わせてイルカの展示とショーを終える方針を打ち出した。理由には、競合館の開業で独自性が薄れたこと、飼育施設が小さく拡充が難しいこと、入館者の減少、そして動物保護をめぐる世界的な流れが挙げられている。倫理面の理由は、並びの最後だった。
ところが2026年4月、区が策定したリニューアル事業計画で日程が大きく変わった。物価高で工事費が大幅に上がり、事業の手法を見直した結果、開業の目標は令和15年度(2033年度)になった。いまの建物は工事の前に全面閉館するが、その時期は設計の段階で詰めるとされ、決まっていない。イルカは、飼育実績のある他の水族館や動物園に移す方向で調整するという。
つまり、イルカショーの終了は決まっているが、最終日はまだ決まっていない。2026年10月時点で、しながわ水族館のイルカショーは続いている。
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廃止を決めた経緯と、日本でイルカショーが禁止されない理由は、こちらで詳しく書いた。
関連記事:日本でイルカショーは禁止になるのか?2026年時点の答えと、静かに進む「消滅」の実態
京都水族館は「ショー」から「授業」に形を変えた
京都水族館は2022年8月、イルカの子育て環境を整えるためとして、イルカパフォーマンスを休止した。
2024年7月からは、イルカスタジアムを学校に見立てた「イルカのがっこう」を始めている。トレーナーがイルカと遊ぶ様子を見せながら、個体ごとの性格や生態を解説する内容で、来場者もクイズなどで参加する。
ショーをやめたというより、見せ方を変えた例だ。ジャンプの迫力を売りにした演出から、1頭ずつを知ってもらう解説型への転換は、イルカを新たに入手しにくい時代の1つの答えとも読める。
終わり方を決めるのは、イルカより建物と持ち主
7館を並べ直すと、ショーの終わり方を決めていたのは、イルカの問題そのものではなかった。
- 建物が寿命を迎えたとき、民間の郊外施設はショーごと消えた(犬吠埼、みさき公園、油壺)
- 行政が関わる施設は、建て替えてショーを引き継いだ(江の島、須磨)
- 公立の中規模館は、建て替えを機にショーそのものを手放す判断をした(しながわ)
イルカに関わる理由で動いたのは、最後の1頭が体調を崩した犬吠埼と、子育てのために休止した京都の2館だけで、どちらも飼育上の事情だった。
一方で、イルカの供給は細っている。日本動物園水族館協会は2015年に追い込み漁で捕獲されたイルカの導入をやめ、混獲された個体は海に戻すのが原則になった。新しいイルカを迎えにくい以上、閉館した館のイルカは他館にとって貴重な存在になる。みさき公園の5頭がまとめて引き取られた一方、犬吠埼のハニーには行き先がなかった。その差は、運営側が閉館前に移送先を確保できたかどうかにあった。
いまイルカショーを行う全国の水族館は、こちらにまとめている。
関連記事:イルカショーが見られる水族館 全国一覧
まとめ
- 2002年以降、イルカショーを終えた、または終えると決めた水族館は確認できた範囲で7館
- 最も多いのは閉館でショーごと消えた3館(犬吠埼マリンパーク、みさき公園、京急油壺マリンパーク)で、いずれも民間の郊外施設
- 建て替えでショーが続いたのは、行政が関わる再整備の2館(江の島、須磨)
- 倫理だけを理由にやめた館はない。しながわ水族館も、経営面の理由が先に並ぶ
- しながわ水族館の開業目標は令和15年度に延び、イルカショーの最終日は未定
- 京都水族館はショーを休止し、解説型の「イルカのがっこう」に切り替えた
開館の古い順に全国の水族館を並べた記事や、水族館データベースとあわせて読むと、次にどこが建て替えの時期を迎えるのかも見えてくる。
関連記事:日本の水族館を古い順に並べた全国一覧
全国の水族館データ:日本全国 水族館データベース
※本記事の情報は2026年10月時点で確認できたものです。イルカショーの実施状況や各施設の計画は変わることがあるため、お出かけの際は各施設の公式サイトでご確認ください。

