北朝鮮のスパイは身近に潜んでいるかも?今も日本国内で流れ続ける 乱数放送 の謎。

皆さんは乱数放送をご存じだろうか?

乱数放送とは、スパイを他国に送っている国がその国のラジオ放送を使って、潜入するスパイに対して指示を与えるために使用しているラジオ放送のことだ。

ラジオなどを通して数字の羅列をひたすら読み上げるもので、ラジオが普及し始めた第1次世界大戦(1914~18年)のころから使われるようになったという。

電波のなかでも短波と呼ばれる帯域は、音質がよくないため、民間の放送局にはほとんど使われず、こういった帯域を利用して、北朝鮮やイギリス、キューバ等の国々がスパイ(諜報員)に対して指示を出している(た)ことが知られている。

特に日本周辺では、北朝鮮が乱数放送を用いて、各国に潜伏する工作員に向けた指令を送信している。

日本人拉致事件が多発した1978年には不審な放送が確認されており、この乱数放送との関連が指摘されている。

そもそも北朝鮮による拉致被害とは?

拉致問題とは1970~80年代にかけて、北朝鮮の工作員により、17人の日本人が日本や欧州から北朝鮮に拉致された問題だ。

1970年代から1980年代にかけ、多くの日本人が不自然な形で行方不明となり、日本の当局による捜査や、亡命北朝鮮工作員の証言により、これらの事件の多くは北朝鮮による拉致の疑いが濃厚であることが明らかになった。

実際に発生した拉致事件の詳細についてはこちらにまとめられているが、主要な手口としては日本海沿岸や東シナ海沿岸に工作員を密かに上陸させ、付近を偶然通りかかった若者を拉致するといったものだ。

金正日総書記は拉致の目的として「1つ目は、特殊機関で日本語の学習ができるようにするため、2つ目は、他人の身分を利用して南(韓国)に入るためである」と説明している。

拉致問題については、北朝鮮は、2002年9月の第1回日朝首脳会談において、ようやく初めて拉致を認め、謝罪し、再発防止を約束し、それ以降は日本人が拉致されるというニュースは確認されていない。

全く、関係のない一般人を強制的に拉致する手法は非常に卑劣で許しがたい行為で全員の拉致被害者が日本に返還されることを願いたい。

工作員とは?

北朝鮮の諜報員(スパイ)のことを工作員という。

日本でも活動が報告されており、これまで50件の北朝鮮によるスパイが検挙されており、その内、15件が水際での検挙であったという。

つまり、日本海側や東シナ海側から工作船を用いて日本の領海に侵入し日本海に漂着し、そこから潜入しようと試みているのだ。

工作員の目的としては、他国から情報を盗み出すのはもちろんのこと、前述しような拉致行為や、暗殺・テロ行為も含まれており、非常に危険だ。

2011年には韓国で暗殺未遂事件が起きており、その際逮捕された北朝鮮工作員はボールペン型注射器、ボールペン型銃、懐中電灯に偽装した銃などを所持していたという。

乱数放送 による影響は?今も続いている?

冒頭でも説明をした乱数放送は、こうした工作員に対してテロ行為や、拉致行為を行う日にちや方法を本国から指示するために使用されている。

北朝鮮の乱数放送では、5桁の数字を1組にしたものが読み上げられ、工作員はそれを書き取って、あらかじめ与えられた書物を使って別の数字に変換。さらに所持している乱数表で、文字に置き換えて指令を受け取っていたといわれる。

2000年に金大中大統領と金正日総書記による南北首脳会談が開かれ、関係改善が進んだのを受けて北朝鮮は乱数放送を中断。

だがその後、関係が再び悪化し、北朝鮮は16年6月に再開した。

現在も乱数放送は続いているようだが、2020年にはYouTubeで北朝鮮の平壌放送作成と思われるアカウントが乱数放送のような動画を流していると話題になった。

しかし、これはフェイクの可能性が高いという。

デジタルツールが発展し、古典的な連絡手法である乱数放送はいまや北朝鮮の情報伝達の主流ではないとされているが、他国に警戒感を与えるために今も行われている。

まとめ

世界的に見て、豊かで安全な日本だが、北朝鮮からは仮想敵国とされており、ミサイルが飛んでくる頻度も高くなってきている。

また、2017年には日本海沿岸に次々に木造の北朝鮮籍の船が漂着しており、漁船ではなくこれはもしや工作船ではないかとの疑いもある。

北朝鮮の工作員が実は身近にいる可能性も考えられるため、平和ボケしないよう気を付けたいし、北朝鮮の動向は絶えずウォッチしたい。

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