【プロ野球】広島カープのマーケティング
2015年~2018年までセリーグを3連覇し一時代を築いた広島東洋カープ。カープ女子という言葉も流行った。
また、広島はプロ野球12球団の中では唯一親会社をもたず、スポンサーの協力により運営されている。本日はそんな市民球団=広島カープのマーケティング戦略を分析していく。
Table of Contents
地元・広島に協力な地盤を形成
球団の歴史の長さとテレビ放送が地域密着を強力に
スポーツ球団マーケティングのトレンドは「地域密着」と「女性ファン獲得」と言われているが、この二つを高レベルで実現しているのが広島カープのマーケティングだ。
都道府県別のどの球団が好きかという調査でも広島だけ真っ赤に染まっている。
要員としては、広島にフランチャイズを置いている歴史の長さと、地元限定でのCM配信などが挙げられると思う。
広島東洋カープの誕生
1950年に設立。市民からは原爆復興のシンボルとして認知され広島では絶大な人気があった。創立当初は資金難から球団存続の危機となるが、市民が「たる募金」という募金活動に積極的に参加し、何とかその危機を乗り切った。
また、広島テレビや中国放送など地方テレビ局で試合を配信しているのも地元でファンを獲得できている大きな要因だろう。
県民性も影響か
広島県人は地元愛が強く、東京で最も大きな県人会は広島県人会という。そのアイデンティ的存在がカープなのだろう。
広島県民は絶対敵に回してはいけないとひろゆき氏も熱弁しているので、マツダスタジアムを訪れるときは気をつけよう
マツダスタジアムのボールパーク化
ボールパークに進化したマツダスタジアム
2009年にオープンしたマツダスタジアム。市外から訪れる関係人口の増加と併せて、これまでのマツダスタジアム建設による経済効果の累計は数千億円といわれる。
フィールドのサイズは、左翼101m、中堅122m、右翼100mで左右非対称となっている。レフトスタンド後方を山陽新幹線の線路が走るためだ。
ファウルグラウンドは公認野球規則の制限内で可能な限り縮小したことにより、選手とファンの距離が非常に近いスタジアムとなっており、内野の観戦席には砂かぶり席が用意されている。
マツダスタジアムは本場アメリカの野球場=ボールパークを意識して作られたという。
スタジアムのボールパーク化とは野球場を野球観戦だけを楽しむ場と捉えるのではなく、「野球+エンターテイメント」を楽しむ場と捉えることでもっと多くの観客を動員しようというプロジェクトだ。※ボールパーク化についてはこちらの記事で詳しく解説している。
フードメニューや観戦形態もバラエティに富む
マツダ スタジアムには、定番に加えピザやピタパン、リゾット、さらにはクレープ、パフェのようなデザートまで、300種類以上ものメニューを幅広く用意しており、選手プロデュースの特別メニューなども豊富だ。
砂かぶり席の他にも、鳴り物装備の私設応援団や熱烈なファン向けの「パフォーマンスシート」や「ボックスフロア」「パーティフロア」「ブルペンレストラン」「のぞきチューブ」などが用意され、多くの人に様々なスタイルを提供している。
座席の種類も豊富でホーム・ビジター合わせてなんと39種類も存在する。
チケットに観戦セットが設けられているのも面白い。
現在、
- ホームランセット
- スタジアムクーポンセット
- コミュニティチケット
など様々な観戦形態が用意されている。
新技術にも挑戦中
カープはメタバースを使った応援スタイルの構築にもいち早く取り組んでいる。
メタバース
コンピュータやコンピュータネットワークの中に構築された、現実世界とは異なる3次元の仮想空間やそのサービス
仮想空間で試合観戦できるメタバースアプリ「メタカープ」では、ユーザーが好みのアバターを設定できるほか、ファン同士で交流できるチャット機能も実装しているという。
野球観戦独特の雰囲気をメタバース上でどこまで再現できるかは未知数だが、今後の進化に期待だ。
新たな顧客層の開拓に大成功
流行語大賞にもノミネートされたカープ女子
カープ女子の定義は、「広島東洋カープに入団した若手選手に、入団当初から着目し、2軍から這い上がっていく「プロセス」を伴走して、長期にわたりさまざまな消費行為を行う女性ファン」のことを指すらしい。(参考文献)
プロ野球という顧客層に圧倒的に男性が多かった分野で、女性という新たな顧客層へマーケティングを行い、開拓した広島カープは見事だ。
非日常体験を提供
まずは、文字通り寝そべりながら野球観戦が出来る「寝ソベリア」、最大25名で食事などを楽しみながら観戦できる「パーティーデッキ」など非日常を感じられるような観戦形態を用意したのが大きい。
単純に野球観戦に来ただけで楽しむことができるのだ。
推し活を意識したオンライングッズショップ
また、カープは女性向けのグッズ開発や、関東のカープ女子向けの観戦ツアーをくむなど女性に特化した取り組みも豊富だ。
特にグッズの方は公式webサイトに飛ぶと、選手ごとの商品が選べる使用になっていて推し活をしてるカープ女子を強烈に意識した仕様となっている。
選手のイラストも特徴がきちんと反映されていてクオリティが高い。
まとめ
最近は、カープ女子という言葉に陰りが見え、他の球団でも女性野球ファンが増えてきた印象だが、今後の新たなカープの取り組みに期待だ。