【体験談】 広告代理店 がなぜブラックかを解説する
2015年、電通の社員が過労死してしまうというセンセーショナルな事件が起こった。
そもそもなぜ広告代理店はブラックなのだろうか?
私もかつてネット系の広告代理店に所属していたが月の残業時間は60時間を下回ることはなく、
労働時間が周りの会社の人間と比べても非常に長い環境であったことは間違いない。
今日はなぜ広告代理店の仕事がブラックになりがちなのかを経験に基づき解説していく。
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1.クライアントワークだから
まず、一つ目にクライアントワークだからという理由が挙げられる。
同じくクライアントワークである戦略コンサルもブラックな仕事として知られるが、クライアントワークはそもそもの仕事形態が顧客目標の達成であるため、決まった仕事をこなせばよいという業務体系とは適合しにくい。
効果を出せなかったり広告運用で大きなミスをすれば、クライアントとの契約が打ち切られ巨大な売り上げが失われる。
また、特定のクライアントの担当者は機密情報流出阻止の観点から社内でも人数が限られており、替えが利かない。
広告運用はトレンドに合わせた、緻密な変化を考慮してクリエイティブを差し替える必要もあるし、顧客からの細かい修正の要望にもいつ何時でも対応できる状態にしておかなければならない。
対応の速さが代理店としての顧客からの評価に直結するためだ。
また、広告代理店が提供する価値というのは無形商材であるため、顧客から見るとどの代理店もあまり変わらないように見える。
したがって、クライアントからすれば効果や対応が悪ければ、代理店を変更するという選択肢が取りやすいため、常に広告効果や対応を一定に維持しなければならないというプレッシャーも労働時間を長くしている理由の一つだろう。
2. 成長産業だから
二つ目の理由として成長産業だからという理由が挙げられる。
下記のグラフを見ていただきたい。(引用元:https://dentsu-ho.com/articles/8090)
日本の総広告費というのはコロナの渦中であった2020年を除けば、成長が続いていることがわかる。
これは主にインターネット広告費の伸長によるものだ。
スマホの普及に伴い、人は人生の大半の時間をスマートフォンを見て過ごすようになった。
身の回りのサービスも多くがスマホで完結するようになってきており、これに合わせ広告面もデジタル化が急激に進みつつあるのだ。
インターネット広告の場合、広告効果を具体的な数値で把握することが出来てかつ、配信できるサイトの数もほぼ無限だ。
今後もインターネット広告費は成長を続けることが予想される。
一方、広告代理店のインターネット広告費の成長に対する対応はどうだろうか?
インターネット広告による売り上げ増加→人員追加→インターネット広告による売り上げ増加→人員追加・・・
というサイクルを繰り返しているため、売り上げ増加に対して人手不足の状況が続いているのだ。
また、代理店のビジネスモデルとして
例えば、配信した金額の10%をマージンとしてもらう契約をクライアントとしていた場合、
100万をクライアントから預かり、90万円で○○TVにてCMを配信→残りの10万を利益としてもらう
というようにして利益を得ている場合、無形商材を扱っているにもかかわらず利益率が少なくなりがちだ。
したがって、利益率向上のためにも人件費はなるべく安く抑えたい。
このようにして、人当たりの仕事量が大きくなるのだ。
3. コンサルタントとしての仕事に加え実行業務も担う必要があるから
3つ目の理由として、コンサルタント業務に加え運用業務も担わなくてはならないという理由がある。
広告代理店のメインの仕事としては、出稿主様に対してどのメディアでいくら広告費を出せばよいかをアドバイスし、実際に運用していくというのが一連の流れだ。
その際、戦略コンサルとは異なり、アドバイスするだけでなく実行までも自分たちでやらなくてはならない。
特にデジタル広告の場合、入札は24時間行われているし締め切りや月、キャンペーンの切り替えにも期限までに厳密に対応しなくてはならない。
これはマス広告も同様で、期限までにクリエイティブや配信開始の手配などをおこなわなくてはならない。
まとめ
ここまで広告代理店のブラックな側面の話ばかりしてきたが、実際私が働いていたときはどうだったかというとそこまで辛いと感じたことはなかった。
長時間労働とはいえ、休日出勤などを求められることもなかったし、なにより仕事にやりがいを持って取り組めていたことが大きかった。
とはいえ同僚の中には上司などの人間関係で心を病む人や顧客からのプレッシャーで休日返上で働く人も中にはいた。
ビジネスモデルが働き方に与える影響はおおきいため、是非会社を選ぶ際はこのような観点からも分析してみて欲しい!